第6回・輝ける、偽・ジェルソミーナ通信大賞

さぁ、いよいよ発表です!


  

2004年にスクリーンで観たのは159本。番外でDVDやビデオでも何本か拝見しています。
9月から11月ごろにかけては本業が忙しくてほとんど観ることが出来なかったけど、それは仕方ないですね。
深く印象に残る作品もあれば、観なければ良かったと後悔する作品、またタイトルを読んでも内容をさっぱり思い出せない作品もありますね。いろんな159本を振り返りながら、2004年の総括をして、そして最後に皆さんお待ちかね(?)の「第6回・輝ける、偽・ジェルソミーナ通信大賞」を発表したいと思います。まぁ、何の権威もありませんが...。

まずは部門賞からぼちぼちと...

欧州賞…「グッバイ、レーニン!」
まず今年の特徴はヨーロッパの作品を多く観たことではないでしょうか。「息子のまなざし」「ドット・ジ・アイ」「スイミング・プール」など印象に残る作品も多かったですね。中でもドイツの作品「グッバイ、レーニン!」は秀逸! 欧州映画賞はこの作品に!

米国賞…「コニー&カーラ」
ボクはもともとあんまりハリウッドの大作は観ないのですが、今年は「パッション」「21グラム」などが強烈でした。アメリカのインディーズ作品「エイプリルの七面鳥」は心温まるお話しでしたね。「スクール・オブ・ロック」もノリが良く、しかも哀愁が漂う映画でした。
でも、文句なしに面白かったのは「コニー&カーラ」。この映画がどうして日本(大阪)ではヒットしなかったのでしょう? アメリカ映画賞はこの「コニー&カーラ」へ。

チャイニーズ賞…「インファナルアフェア2/無間序曲」
香港の映画はすっかり影が薄くなってしまいました。もう、台湾やら大陸など区別してのジャンル分けするのが難しいほど(悲しい!)。中国の作品では「思い出の夏」が良かったですね。でも、今年もへヴィー級の作品が香港からやって来ました。それはもちろん「インファナルアフェア2/無間序曲」。「2046」などもありましたが、今年のピカイチはこの「インファナルアフェア2/無間序曲」。従って、今年から新しく作ったチャイニーズ映画賞はここに!

日本賞…「父と暮らせば」
日本映画もなかなかの粒ぞろいでした。「ジョゼと虎と魚たち」もいい作品でしたし、「スイングガールズ」も大ヒットでした。「風音・ふうおん」も忘れられない作品です。でも、もっと強烈なへヴィー級が...。
今年はあまりにも良い作品が多くて、とても一本には絞りきれません。「ヴァイブレータ」「赤目四十八瀧心中未遂」「父と暮らせば」「誰も知らない」この4作品は本当に甲乙付け難いです。でも、どれか一本と究極の選択をすれば...、やっぱり「父と暮らせば」でしょうか。黒木監督は「美しい夏キリシマ」も良かったですね。「ヴァイブレータ」と「赤目〜」、「誰も知らない」は別の賞を。

韓国賞…「オアシス」
ボクが好きな韓国映画。日本でもたくさん封切られましたし、ソウルでも何本か拝見しました。ただ、その割には印象に残る作品は少なかったような気がします。以前は上質の作品だけがセレクトされていたのに、今はなんでもかんでも来てしまいますからね。そんな影響もあるかもしれません。そんな中でももちろんいい作品もたくさんありました。
酔わせてもらった「ラブストーリー/クラシック」「永遠の片思い」、さすがキムギドク監督と思った「サマリア」、怖かった「箪笥」、ちょっぴり涙ぐんだ「菊花の香り」、ペドゥナがかわいい「子猫をお願い」、カンヌのグランプリ「オールド・ボーイ」...。
で、今年の一番はソルギョングとムンソリが素晴らしい「オアシス」。本当に凄い作品でした。2004年の韓国映画賞は「オアシス」で異論はないでしょう。

その他の国では、ブラジルから「私の小さな楽園」。本当に色が違う、そして人間も違う。ボクの心が震えました。またアルゼンチンからはチェ・ゲバラの青春を描いた「モーターサイクル・ダイアリー」もなんとも言えない作品でしたね、印象に残ります。

女優賞…寺島しのぶ
女優賞は間違いなく寺島しのぶ。「ヴァイブレータ」「赤目四十八瀧心中未遂」でボクのハートを鷲掴み。こんな女優さんが日本にいたなんて知りませんでした。今後大いに期待です(次回作は「東京タワー」だそうです)。

男優賞…柳楽優弥
男優賞は難しいけれどカンヌに敬意を表すとともに、作品そのものの出来も出色でした「誰も知らない」の柳楽優弥。彼の眼が忘れられません。

行ってみたい都市大賞…ロスアンジェルス
LAを選出したことに意外と思われた方も少なくないかもしれません。でも、ボクはコニー&カーラが唄って踊ってくれるゲイバーへ行ってみたい! そして一緒になって唄いたい! この映画をご覧になられた方なら誰でもそう思われるのではないでしょうか?

特別賞…「五線譜のラブレター」
特別賞には音楽賞として「五線譜のラブレター」に進呈します。まだ買っていないけれど、サントラが欲しくなりますね。

大賞次点…「ぼくは怖くない」「父、帰る」
それでは次点を二作品。これは奇しくも両方とも欧州の作品になりました。
まず、イタリアから「ぼくは怖くない」。なんとも言えない乾いた色使い。そして、少年から大人への過渡期が微妙にスクリーンに映し出されていました。
そしてもう一作はロシアの作品「父、帰る」。何の前触れもなく、12年ぶりに父が家に戻ってきた。受け入れたいけれど、受け入れられない、父は息子に、息子は父にどう接すればいいのかわからない。そんな心の動きを極めて抑制された台詞と表情で表現されていました。ボクは唸ってしまいました。

ぱんぱかぱ〜ん! お待たせしました!

第6回・輝ける、偽・ジェルソミーナ大賞…「父と暮らせば」
なんとも重いテーマなんですが、それを見事に見せてくれました。こんな素晴らしい作品に出会うことが出来るから、映画を観るのを止められないですね(ちょっと、褒めすぎかな?)。
とにかく、お話しそのものも、演出も、そして役者さんもいい。こんなに三拍子揃っていることは、そうそうありません。
重いのだけれど、観終わってからは、妙にスッキリしている。そして、何故かボクは「よっしゃ、明日もガンバロウ!」と思ってしまいました(思いっきり単純)。

さぁ、もう2005年もスタートしています。
皆さんにとって、そしてボクにとってどんな一年になるのでしょう?
また、どんな映画と出会うことが出来るのでしょう。
ほんと、いつまで続くかわかりませんが「偽・ジェルソミーナ通信」を2005年もよろしくお願いいたします!

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おしまい。



◆◆ 輝ける、偽・ジェルソミーナ大賞 一覧 ◆◆
大賞 男優賞 女優賞 行ってみたい都市大賞
第1回(99年) 八月のクリスマス アリ少年
「運動靴と赤い金魚」
クリスティーナ・リッチ
「バッファロー66」
テヘラン
「運動靴と赤い金魚」
第2回(00年) 初恋のきた道 ホック
「フォーエバー・フィーバー」
スー・チー
「ガラスの城」
粟国島
「ナビィの恋」
第3回(01年) 不思議惑星ギン・ザ・ザ 朱旭
「心の湯」
レニー・ゼルウィガー
「ベティ・サイズモア」
フィレンツェ
「冷静と情熱の間」
第4回(02年) 悪い男/Bad Guy ゲンとジュン
「able/エイブル」
宮沢りえ
「たそがれ清兵衛」
キューバのバス停
「バスを待ちながら」
第5回(03年) 一票のラブレター ティモシー・スポール
「人生は、くもりときどき晴れ」
チョンジヒョン
「猟奇的な彼女」
キシュ島
「一票のラブレター」
第6回(04年) 父と暮らせば 柳楽優弥
「誰も知らない」
寺島しのぶ
「ヴァイヴレータ」
LAのゲイバー
「コニー&カーラ」