「ボクらはいつも恋してる!/金枝玉葉2」

手にした瞬間から消えるのは...


  

今回もレスリーチャンの追悼上映。毎回大勢のお客さんが入っている。改めてレスリーの人気を知らされる。中には「この顔、他の会場でも見かけた」って方もいるけど、ボクもそう思われているかもしれない。なにしろ男は極端に少ないし、こっちはネクタイまでしているんだから。
グレゴリー・ペックも亡くなった。ボクは不勉強だから「ローマの休日」の彼しか知らない。この映画はいろんな名場面があるけれど、ボクが一番好きなシーンはラスト。記者会見が終わり、人気のない宮殿の長い廊下を靴音を響かせて彼が歩き去っていく。このシーンにかつてのボクは胸を熱くしたものです。大切に胸中にとっておきたかった珠を手放してしまった淋しさだったのか、せつなさだったのか、それともある意味肩の荷を降ろせてほっとしていたのか...。もうすぐテアトル梅田でリバイバル上映されるようなのでもう一度観ましょう。
キャサリン・ヘップバーンも名古屋章も鬼籍に入ってしまった。ご冥福をお祈りします。

さて、今回も千里セルシーシアター。「ボクらはいつも恋してる!/金枝玉葉2」はこの日が初日、平日のレイトのみ、しかも三日間だけの上映。「こりゃ立ち見か?」ってほどの人が入っているけど、なんとか座れた。結局、補助席+数名の立ち見。
これなら普通に上映しているより、古くても名作と呼ばれている作品群の特集上映を続けた方がお客さん入るんじゃない?

何の前置きもなく、前作「君さえいれば/金枝玉葉」のエンディングからいきなり始まる。「この映画を観る人は前作を観たでしょ」って強引さが嫌味に感じない。そうです、みんな「君さえいれば/金枝玉葉」観てます、ハイ。
恋愛映画は数々あれど、そのほとんどが恋の行方を題材にしている。恋の行方とは、この二人が果たして成就するのか、つまりくっつくのか別れるのかということですね。そこに人間模様があり、ドラマがあり、見せ所・見どころが詰まっている。ところがこの作品、レスリーとアニタユンは前作でくっついている。そこで続編の切り口は「その後」を描いている(当たり前だけど)。
人間の感情って不思議なもので「この人とどうなるんだろう?」と心が不安定に揺れているときは「面白い」。でもリングを交換した瞬間から、安定してしまったときから興味は失せてしまい。守りにはいってしまう「おもんない」。 ここにこの映画の切れ味の悪さがある。

一緒に暮らし始めて、初めてわかる様々な摩擦に葛藤。レスリーにとってアニタユンは闖入者にしか過ぎない。あれだけ熱かった心もいつのまにかしぼんでしまう(淋しいなぁ)。
でも「愛ってそういうもんじゃないやろ」ってこの作品は教えてくれようとしているのか。愛するためには、恋を成就するために捧げた情熱と同じほどのエネルギーが必要なんだ。

確かに前作に比べると歯切れが悪く、強引で、笑いも少ない。
でもそんな気分を一気にひっくり返すラスト。楽しませてもらいました。

アンディホイが間抜けな役で顔を出しています。

次回は、とうとうレスリー追悼上映の最終回。「楽園の瑕」をご紹介する予定です。

おしまい。