「楽園の瑕」

やっぱり理解不能


  

降りだせば大粒の雨が落ちてくる。今年の梅雨は男性的な降り方が多かったような気がする。昼間はそこそこ蒸し暑くても、まだ熱帯夜がないのが救い。暑さにうなされることなく朝を迎えられるのは大事なことです。でも、もう少しで梅雨明け、そしてうだるような真夏がやって来るのかと思うと、気が重い...。

各地を転戦してきたレスリーの追悼上映、ボクが観るのはたぶん今回が最後。「楽園の瑕(東邪西毒)」。ウォンカーアィ監督作品。会場は千里中央のセルシーシアター。平日のレイトにも係わらずほぼ満席なのは凄いね。この映画の上映を並んで待っていたら、直前に上映されていた「猟奇的な彼女」が終わり人が出てきた。その数なんと4人。これはちと淋しすぎるょ。
この映画は日本で初公開時に三宮のアサヒシネマ(最近、とんとご無沙汰やなぁ)で拝見しました。その時もさっぱりわからなかったけど、改めて観るとこの作品やっぱりほとんど理解不可能。観る側はもう筋とかストーリーは求めていない。豪華なキャストをうっとり眺めているだけ。
間違いなくカネはかかっている。壮大な砂漠でロケするだけでもそうだえろう。でも、出演陣が豪華で予算が潤沢でもそれだけでいい映画が出来るのかというと、そうではない。そんな見本のような作品に仕上がっている。レスリーもトニーレオンもかっこいいし、マギーチャンまで顔を出しているのだけどどうもね。こりゃいかんよ。中華圏の「武侠片」はもともと苦手だけど、それに輪をかけるような、そんな気がします。

レスリーは砂漠に住む孤高の仕事人(実際は斡旋のみだけど)。ここに彼を訪ねてくるのは、彼に「殺し」を依頼しに来る人。そして、彼から仕事を請け負う人。レスリーの悲しみと、依頼人の悲しみ、そして仕事人の悲しみを描きたかったんだろうな。でも、その全てが中途半端。さらに、恐ろしいまでの省略と飛躍が随所にあり、多くの観客は、途中でお話しに付いていくのを断念してしまう(考えてみたら、それもヒドイ話しだ)。
全体的に暗く沈み込んだトーン。明るさや楽しさからは正反対の位置にある。出演者と監督のネームヴァリューがなければ、もはや映画として成り立っていなかったのではないか。いわゆる大作だけど、作品としても興業成績にしてもさっぱり。まぁ、こんな映画もあります。

ここ数年の香港映画では「痩身男女」をもう随分長いこと待っているのに、いつになったら公開してくれるんだろう? 「無間道」も公開はあるのかな? 「少林サッカー」とまでは行かずとも、そこそこ当たると思うんやけどなぁ。アジアや他の国の作品も観たいけど、もっと香港映画プリーズ! あぁ、香港へ行きたい(ソウルや台北でもいいけどね)!

おしまい。