「カタクリ家の幸福」

みんなで笑えばそれが幸せ


  

予告編を観たときに、思わず身を乗り出してしまった。
「このストーリーは知っている!でも、何の映画だったか想い出せない!ウ〜ン!」
で、予告編の最後に「原案:映画クワイエット・ファミリー」と出て。膝を打った。「そうそう、韓国映画の‘クワイエット・ファミリー’だ」  今をときめくソンガンホとチェミンシクが情けない役で出ていたあの映画。この「カタクリ家の幸福」の原作なのです。

会社をリストラされた沢田研二が退職金を元手にとんでもない山の中に開いたのが「ペンション・白い恋人達」。でも、お客は全然来ない。
妻には松坂慶子、父親に丹波哲朗、息子は武田真治、娘も西田尚美というそうそうたる顔ぶれ。この映画で一番驚かされるのは、沢田研二と松坂慶子の娘に子ども(つまり孫)がいて、この二人がなんとおじいちゃん、おばあちゃんを演じているということ。時の移り変わりの無情さを感じますねぇ。

初めてやって来た客をはじめ来る客が客室で自殺してしまう。その死に方までも‘クワイエット・ファミリー’をなぞっているが、この先はちょっと違う。

とんでもないストーリーなんだけどとても上手く、そして楽しく演出されています。随所でいきなり繰り広げられるミュージカルシーンには参ってしまいます。もう、ただ声を上げて笑ってしまうしかないですね。
ブラックコメディをカラッとしたタッチで描いている映画ですね。実写部分とパペットの部分が巧に使い分けられていて、しんみりした部分も人形で見せられると明るく納得してしまいます。
忌野清志郎が謎の詐欺師役で、竹中直人もちょこっと顔を出しています。

何年か後にテレビで放映されるのを待ってもいいかも知れませんが、お暇な方は劇場へ足を運んで観て下さい。土曜の朝10時10分の回にも関わらず40名以上の動員。しかも客層もバラエティに富んでいて、ジュリーの人気なのか松坂慶子の人気なのか...。会場は新梅田シティのシネ・リーブル梅田。もうしばらく上映中のようです(朝10:10の回があるのは土日祝のみ)。

次回は「化粧師」をご案内します。
おしまい。