「Interview」

ほんとに、これが最後なの?


  

ようやく観てきたシム・ウナさまの事実上の「引退作」。

去年の4月にこの映画をソウルで観たときにはまさかこの映画が最後になるなんて思ってもみなかったし、ちょっと小難しいこの映画がメジャーな映画館で公開されるとも思っていなかった。この映画を日本語字幕付きで観ることが出来たのは幸せだけど、シム・ウナさまが引退してしまうのは淋しすぎる。
会場は新梅田シティのシネ・リーブル梅田。レイトショー公開で、しかも期間は一週間のみ。淋しいですね。それでもお客さんは30名ほどいて、きっとみんなウナさまのファンなんだろうな(それともイ・ジョンジェのファン?)。

この映画は結局何が言いたいのか、それが良く分からなかった。そして、この映画、着想は確かに面白いんだけど「シム・ウナが出てなかったら、面白くともなんともない」映画だと思う。逆に言うと、シム・ウナという旬な女優さんが出ているがために映画そのものがちょっと歪められてしまったんとちゃうかな。
映画を企画して作る側のことが見えて面白い。その日撮ったビデオを毎晩遅くまで見直して、検討して、今後の戦略を練る。こんな風に映画は出来ていくのか。出演者がほとんど素人だけに、役者さんの演技にはない面白さが確かにある。なんか、DVDのおまけに付いていそうなメイキング・ビデオを見ているような気もするね(DVD持ってないから見たこと無いけど)。
でも、そこに唐突にシム・ウナが登場してきて、彼女にイ・ジョンジェが一方的に入れ込むのは、なんかムリがあるな。
それに、フランスでシム・ウナが演じる現代舞踏家が踊る姿をイ・ジョンジェは撮影しているはずなのに、彼女にソウルで再会しても気が付かないのか、気付いていたけど、知らないふりをしていたのか。そのへんの説明が一切無いのら、フランスで撮影した部分は全くの無駄というか、必要のないシーンになってしまう。
結局、シム・ウナとイ・ジョンジェが絡むシーンが無理矢理付け足されて、「本来のこの映画の狙いとは違うんだけど、スターが出て下さることだし、この二人を主人公にした恋愛映画(?)にしてみました」って言うそんな気配を感じてしまいました。

この映画に関しては、字幕付きで観なければよかった。そして、去年ソウルで観たときの印象のままの方が良かったな。
シム・ウナさまがボクの記憶にあるこの映画の彼女より生彩が無かったのも気になる。特に、ビデオを向けられてしゃべる彼女にはなんか疲れともむくみともとれるような「気怠さ」が漂っているような...。
この作品がこのまま「引退作」になってしまうんだとしたら、ほんと、ちょっと淋しすぎます。

蛇足ですが、ソウルで観たヴァージョンと日本で今回上映された分とでは一部のシーンで相違があるような気がします。ソウル版にはかなりいい年をした夫婦が結婚式の会場でインタビューを受けるシーンが二度あったのと、フランスでシム・ウナが踊るシーンがもう少し長かったのではないでしょうか。また日本版の最後にあったイ・ジョンジェがスタジオで編集するシーンはソウル版には無かったような気がします。

おしまい。