「ヴァージン・ハンド」

マリア様、ボクにも奇跡を!


  

続けて観たのもウッディ・アレンの主演映画。
この「ヴァージン・ハンド」少し前に東京に行ったときに観ようと思っていたのに、時間が合わなくて見逃していた映画です。東京でも大阪でもレイトショーでの公開ですね。最近はこの偽ジェ通信をすぐに書けなくて、上映が終了してから配信することが多く、心苦しいです。ごめんなさい。
でも、それだけ、ミニ・シアター系で公開される作品が多くて、公開のサイクルが早くなっているのも確かですよね。下手すると上映期間が1週間だけという作品も珍しくなく、3週も続くと「ごっついいなぁ」って感心するもんなぁ。いい作品でも、通常時間帯の上映を2週して、その後レイトかモーニングで1週してオシマイやもんなぁ。観る側も時間調節が大変です。

さて「ヴァージン・ハンド」のお話し。
ボクは「おいしい生活」よりもこっちの方が断然面白かった(お客さんは半分以下に減っていたけどね)。
メキシコ国境に近いニューメキシコ州にある小さな町が舞台になります。テキサスの田舎町で肉屋を営むテックス(ウッディ・アレン)は浮気癖のある悪妻・キャンディを思いあまって殺してしまう。彼女を七つに切断した彼はこの町に死体を捨てに来る。ところがテックスは途中でキャンディーの手首を落としてしまうのね。
翌朝、道端に落ちていたキャンディの手首に躓いた盲目の老婆は...。なんとその拍子に視力が復活したのだ!
キャンディの手首は「マリア様の手」として、町の教会に持ち込まれる。すると次から次へと奇跡が起こり、膝から下を失った男の足が蘇生したり、痣が消えたり...。

テキサスでこのウワサを耳にしたテックスは、キャンディ殺しがばれると思い「マリア様の手」の奪還作戦に乗り出す。キャンディの浮気相手の一人だった保安官はテックスが怪しいと見てテックスを追いかける。
「マリア様の手」が持ち込まれた教会は、奇跡を求めて人々が押し寄せ、町は人であふれかえり、寄付も集まりウハウハのはずなんだけど、神父さんはどうも乗り気じゃない。ウワサを聞きつけた教会のニューヨーク本部からは怪しげな調査団がやって来る。

すったもんだのハチャメチャ、ドタバタ・コメディ。それでいてお話しは破綻することなく繋がっているんだけど、どうも視点がずれているような、突き放したような描き方なのね。
一応、テックスが主人公なのは判るんだけど、彼に感情移入しているわけでもなく、途中からはテックスがここまでして「マリア様の手」を奪い返す意味は無いんじゃないかと思えてくる。
神父さんと愛人である娼婦の関係も、もう一つ解りにくい(いや、最後までよく解らなかった)。
でも、そんなことは一切無視して、半ば強引に映画は進んでいく。そしてそれなりに面白いのだから仕方ない。

決して‘必見’ではないですが、なんかオモロイことないかなぁと言う時にはオススメの作品ですね。上映は終了してしまいました。ビデオになってから(いや、最近はDVDですね)お楽しみ下さい。
テックスが飼っているワンちゃんがやたらかわいいですよ!

おしまい。