「チェブラーシカ」

チェブとゲーナに再び出逢う。


  

この9月に新しくオープンした神戸の映画館。シネ・リーブル神戸へ行って来ました。三連休の初日ということもあってか、朝の10時過ぎに着いたのですがもう何人かお客さんが来ていました。
でも、窓口にチェブラーシカの前売り券を差し出して受け取った整理券の番号は「1」でした。ここにいる人はみんなチェブ以外の映画を観る気なのね! ここは3つのスクリーンがあります。出来たばかりとあって、館内はロビーも含めてとても綺麗で、気持ちがいいですね。
チェブは一番大きなスクリーンで上映。40名ほどの入りで、ホッとしました。

不思議だけどかわいくてしかたないチェブラーシカとダンディなワニのゲーナ、そしてちょっといちびりなおばさんシャパクリャクが繰り広げる、心温まる人形劇。チェ ブラーシカとはロシア語で「ばったりたおれ屋さん」という意味なんだって。 すぐにばったりと倒れてしまうので、この名前がつけられたのだとか、でも映画の中ではあんまりばったりとは倒れないけどね。
CGなどのハイテクを駆使した映画ではなく、ローテクな作品だけど、その分温かみを感じるから不思議ですね。動きが妙にぎこちない。でも、それがチェブなのです。
耳に残るのはゲーナが唄う少しもの悲しいアコーデオンの曲ですね。もう少し明るくてもよさそうなのに、なぜかちょっと暗い曲。でも耳に残る美しい旋律です。自分の誕生日に唄い、汽車に乗って唄います。

各話が20分ほどの作品が三作。制作年が違うので、チェブの表情やまゆげ、それに身体の感じが微妙に違いますし。そんなところにも「ほほえましさ」を感じるんだから不思議ですね。
南の国からオレンジと一緒にモスクワに来たチェブが、動物園に勤める若いワニのゲーナと知り合い「友達の家」を作るまでを描いた第一話。1969年制作。
第二話は、チェブとゲーナがピオネール(ロシア版のボーイスカウト)に入れてもらいたくて活躍するお話し。第一話で立派な家を建てた二人が、鳥の家を作れないのが不思議ですね。でも、その後、子供広場を作ってしまう。1971年制作。
そして、最後はチェブとゲーナが夏休みを過ごすために鉄道に乗って出掛けるお話です。いままでちょい役だったシャパクリャクが主演級の扱いです。ゲーナが荷物を運ぶのを見て「ボクが荷物を持つからゲーナはボクを持ってよ」とチェブがゲーナに言います。ラストで客車の屋根に乗り、ゲーナがアコーデオンで唄うのは、ちょっと淋しげなんですけどね。これは1974年の作品です。

この映画は8月に扇町のミュージアムスクエアで観たのですが、もう一度観たくなって神戸に足を運んでしまいました。ぴあで確認すると、ミュージアムスクエアで12月に再上映されるようですよ。

チェブのホームページでは、近いうちにDVDが発売されるそうです。映画館で見逃した方も、DVDかビデオででもいいですから「一度チェブに逢ってもらいたい!」 そんなことを思わせるほんとにかわいい作品です。
でもね、考えてみたらチェブラーシカって何にもしていないの。いつも「うーん」とか何とか言ったりぶらぶらしているだけで、必要なことはみんなゲーナがやってくれるんだなぁ。チェブは何にもしなくてもかわいいからいいのかな。

おしまい。

※今回は、web掲載後に大幅に訂正加筆(実は、ほとんど原形をとどめていない!)させていただきました。