あの空にも悲しみが。 |
イユンボック 評言社 482820508X |
少しの間使っていなかったカバンを開けると、新聞の切抜きが出てきた。 一言で表現すると“暗く、切ないお話し”。
大邱(テグ)に住むユンボギは小学生。まだ学校に上がる前にお母さんは幼い妹と弟を残して家出してしまい、木工所を営んでいた父は事業に失敗したうえに、今は身体をこわして寝込んでいる。だからユンボギは、夜な夜な喫茶店をまわってガムを売って一家を支えている。
この日記には大人の考えはない。
あるのは、どうしてお母さんはボクたち4人の子供を残して家を出てしまったのかという思いと、どうしてガムを売ってまでその日のうどんを買うしかないほど自分が貧しいのかという思いが、ひしひしとなおかつ率直に綴られている。ある程度年を経るとここまで素直に思いを書くことは出来ないものだと思う。
その日稼がなければ何も食べられない。自分の空腹は我慢したり、騙したりできるけれど、幼い弟や妹、それに父親はユンボギが買って帰る食べ物を待っている。もし、稼ぎがなければ、空き缶を片手に家々を回り「おもらい」をして施しを受けなければならないなんて。
そんな中でも学校に通い、勉強をする。 チャンスがあれば、是非! おしまい。 |