インドカレー伝 |
リジー・コリンダム 河出書房新社 ISBN:4309224571 |
この本はインドのカレーがどのように世界中に広まって行ったのかをあらわしているようで、実はもっと複雑な文化の伝播について語っているのだと思う。
この本の中で繰り返し述べられているのは、インドの人々であれ英国人であれ、他国の食べ物(文化)をそのまますんなり受け入れることは少なく(もちろん例外もあるけれど)、その地その地で受け入れられやすく独自のアレンジや解釈が加えられるということ。 “(インドの人々は)地域ごとの土壌と水の特質が、収穫される穀物に吸収されるのだと考えている。穀物を食べると、こうした特質が民衆に伝わり、力が与えられる。村の土地で育てた米は、市場で買った米よりも栄養価に富んでいて、満腹感があると重宝される。地元で栽培された米を食べれば、村人は故郷の自然の力で満たされ、その共同体に結び付けられる。” なるほどなぁ、この考え方は理解できるし、ボクだって丹後のお米は美味しいし、田舎から届く野菜には特別な意味がある。
何年か前に「日本の味醤油の歴史」(林玲子・天野雅敏編 吉川弘文館 ISBN:4642055878)を読んだときと同じようなことを思った。それは、食物というのは確かに文化で、それもうんと保守的な文化なんだと再認識したこと。 読んでも楽しいわけでもなんでもないけど、面白い部分があるのも確かです。 おしまい。 |