浅田次郎が書いた新聞に連載した小説。 ミステリータッチで話しは進んで行く。太平洋戦争の終戦間際に台湾海峡で米国の潜水艦に撃沈された民間徴用船「弥勒丸」を巡るストーリー。舞台は現代と終戦間際とを目まぐるしく行き交う。 読み進めるに従って徐々に明らかにされるのは、この「弥勒丸」が背負った運命(使命?)。シンガポールから日本へ向かったはずだった弥勒丸がどうして、急遽行き先を変更して上海へ向かおうとしていたのか。 そして、この船の運命を画策した男達のエピソードが重なる様に語られる。
悪いお話しではないけど、正直言ってもうひとつパンチが足りないような気がした。それは現代の狂言廻しを演じる一組の男女の設定が、いかにもって感じで安っぽかったからだと思う。 しかし、読者をぐいぐい引っ張りこむ話術は巧だ。
読了後、「シェエラザード」を収録したCDを買ってしまいました(思ったほどの曲ではなかったけどね)。出張で行っていた広島県三原市の書店で購入。上下二冊組ですがスラスラと読めます。