「転生」 |
貫井徳郎 幻冬舎文庫 648円 |
読み進めて行くうちに辞められなくなる、そんな作品。
年末に同じ著者の「慟哭」を読んだ。同じ作者の作品化と思うほどタッチは異なる。「転生」は犯人を探すとか、謎を解くとかに重点が置かれているわけではない(後半になって、やや強引にそっちの方へストーリーが流れて行くけどね)。
心臓移植を受けた青年が、体調に不安を訴える。それはフィジカルな不調ではなく、メンタルな不調。この不調さを前向きに捉える主人公の青年が爽やかだ。そして不調の原因が移植された心臓にあるのではないかと考えるようになる。
美術館、チーズケーキ、ストーカーなど周りを彩るサイドストーリーにも事欠かない、ドナーと言う存在も韓国映画向きだ。是非、韓国で映画化して欲しい。この本を「シンシネ(韓国の映画会社)」に送ってやろうかとすら真剣に考えたほど。 |