05/03/2007・那岐山でいい汗を流す

野鳥との距離がうんと近い 気持ちがいいコース


R53から振り返る那岐山は雄大な山塊

先日の星山は少し物足りなかったのか、それともエンジンが温まってきたのか。新しい軽登山靴になってほぼ1年でようやく足に馴染んできたせいなのか...。
星山のピークから東に見えた複数のピークを持つ山塊。調べてみると、どうやら那岐山(なぎさん)らしいとわかった。よっしゃ歩くしかないでしょう。

GW後半、四連休の初日だけあって早朝の中国道、渋滞ではないもののかなり交通量が多い。中国道は山の中を縫うように走る。前回もそうだったけど、目に入るのはフジの花の藤色。この時期しか目に入らないけど、いいものですね。見上げると西の空にはオレンジ色をした満月。西へ進めば進むほどキリが濃くなり、しまいにはフロントグラスがぐっしょりと濡れる。

今回は美作で降りる。相変わらずの濃い霧が立ち込めるなか、ICを出てそのまま北へ奈義町方向へおよそ15キロ。R53に合流してからは「那岐山麓山の駅」か「蛇渕の滝」あるいは「菩提寺」の標識に従ってしばらく走ると二車線だった道が狭くなったところが登山道への分岐。しばらく進むと下のパーキング、ここをやり過ごしてくねくねと進むと上の駐車場。クルマはここまでらしい。上の駐車場には10台ほど停められます(下は20台ほどかな)。まだ朝も早いせいか一番乗り。

準備体操をして装備を整える。ひんやりとしめった山の空気が気持ちいい。駐車場の前には蛇渕の滝への案内板。帰りしなに寄ることにしよう。
舗装道路をほんの少し進むと登山口の標示。ここから山道になる。よ〜し、頑張るぞ!
星山と同じようにここも開けている。台風か何かの被害なのか地肌が見えて見晴らしが利くのはなんだか淋しい。そして、上空(?)を見上げるとはるか彼方に今から歩く那岐山のピークが臨める(ほんまにあそこまで歩けるんかいな?)。
コースは一旦植生の森に戻る。すると、BコースとCコースの分岐。ボクはCコースから上がってBコースを降りてくる予定。だからここは左手のCコースを進む。
ヒノキの植生林と禿げた山肌の開けた場所を交互に進みながら高度を稼ぐ。足に馴染んできたはずの靴だけど、なんだかちょっと痛くて重いぞ。

このCコースの次の目標点は大神岩というポイント。
とにかく誰もいなくて静か。クルマのエンジンの音はもちろん、空から飛行機の音が落ちてくることも無い。この那岐山の素晴らしいところ。それはあんまり人が入っていないところではないだろうか。地域の山として親しまれているのはもちろんだけど、百名山に入っているわけでもなく、ピークハントだけを目的にしている人や団体さんはあんまり入っていないのではないかな。
そんな気がしたのは、この山の野鳥たちとボクとの距離が凄く近いから。植生の中では、先日の星山でも聞いた“ホーホー、ホーホー”というまるで時刻を知らせるかのような低い声がひびき、稜線に達して低木の中を進むときは“ホーホケキョケキョケキョ”とウグイスが絶えずさえずる。星山ではそのウグイスの姿をとうとう見つけられなかったけれど、ここではすぐ見つかった。なんだか冴えない薄く緑色がかった灰色。驚いたのが、彼がなんと口だけではなく全身を使って鳴く姿。う〜一生懸命なんだね。また、コース上をネクタイをしたヤマガラ(シジュウカラよりもカラフルですね)が、ほんの5mほど先にある梢にとまって、ボク誘う。少し進めばヤマガラも少し先の枝に移る。そんなことをしばし繰り返すとしんどさも時間のことも忘れてしまう。

そうこうするうちに大神岩。ここは標高が調度1,000mらしい。はるばる登ってきたなというよりも、まだ、500mも歩くのかと思うと...。
素晴らしい見晴らし。眼下には津山盆地と中国山地の山並みが一望...、のはずだったけれど、ほとんどがすっぽりと厚いキリの海の下。それに上空も全体的にモヤがかかってちびっと残念。でかい岩にどっかり腰を下ろして一息入れる。

実は、ここからはそんなにしんどいわけではなく、かなり快適な稜線歩きが楽しめる。それにピークが視界に捉えられるので、あともう少しとかわかるのがいいですね。クマザサの原っぱを一気に登りきると避難小屋が目に入る。ここがピークかと思えば、実はここは旧ピークなんですね。かつてはここが那岐山の頂上で標高も1,240mということだったらしい(実際にここに三角点が埋められている)。が、稜線上にある東側のピークの方がどうみても高いぞ、ということになり測ってみると、確かに東側の方が高く、そちらが新ピークとなったそうです(1,255m)。まぁ、そんなことも思い込みもあるだろうし、ありがちですよね。
旧ピークからもう一つの避難小屋の前を通って10分ほどで新ピークに到着!

もう少し風があって、すきっと晴れ渡っていればいいのだろうけど、そこまで求めるのは贅沢なんでしょう、きっと。
食事をしたりコーヒーを沸かしたりして30分ほど休憩。すっかり元気になりました。それに不思議と足の重さも痛さもどこかへいってしまっていました。

下りはBコース。Cコースはコースの幅も広くてラクチンのピクニックコースみたいなものだけど。Bコースは“杣道”のような趣。高低差も結構あってワイルドな感覚が味わえます。ただ、こちらは山肌が剥き出しになっている中をコースが通っているので雪がある時にはコースを失い易いかもしれません。途中、イノシシ避け(?)のネットが張り巡らせられていてゲートを二箇所通過するのはご愛嬌でしょうか。

なかなか楽しいコースでしたが、ファミリーにはどうかな? 難易度よりもコースの長さが少し気になりました。

ボクが駐車場まで降りるともう満車。思ったよりも人気があるのですね。
星山でもそうでしたが、那岐山でも山肌が見えている山中には植林が進んでいました。コースの両脇には植えられてまだ何年も経っていない幼木が並んでいて、そうだなぁ、もう5年か10年したらもう一度歩いてみたいな。そのころにはかわいい並木道になっているかもしれません。でも、一度山肌が露出してしまった山を人間の手で緑の山に復活するのは簡単ではないかもしれません。
星山、那岐山と続けて岡山の山を歩いて、整備されて歩き易いコースには驚き、そして感謝です。コースの両脇から侵食する笹は綺麗に刈り取られ階段も美しく、標識もしっかりしている。実際に歩く人の側に立った素晴らしい整備が行われているのを強く感じました。ご苦労様です、そしてありがとうございます。

おつかれさまでした!

 

上の駐車場5:55〜登山口6:00〜(Cコース)〜6:45大神岩6:50〜八合目7:15〜旧ピーク7:25〜7:35那岐山山頂8:05〜(Bコース)〜9:30登山口

本物のピークは静かでいい感じでした
大神岩から見下ろすと、全てがキリの中
大神岩 たくさん見かけたショウジョバカマ
BCコースの分基点 蛇渕滝の少し上流はいい感じ