|
笹ガ岳の山頂ではタヌキの置物がお出迎え! |
すっかり錆付いていた筋肉や関節もどうやら先週のウォーミングアップで少しは油が回った。こうなると元気なうちにもう一度馴らし運転をしておきたい。でもなぁ、この週末は信楽にも行きたいしなぁ。
「そうや!」
「簡単なことやん。信楽周辺の山を歩けばええんや」
どうしてこんな簡単なことが思いつかなかったんだろう。で、早速情報を集める。
これが2、3年前だったら、真冬並みの寒波が来ようが迷わずに鈴鹿を攻めていたと思うけど、今となってはとってもそんな自信はない。雪や凍結の恐れがなく、バテてしまいそうにないコースをちらほらと探す。その結果、信楽の最高峰・笹ガ岳(738.8m)にチャレンジすることに決定。
そうこうするうちに、木金は猛烈な寒の戻り。金曜は京都にいたのだけど、市内でも吹雪いていた。大丈夫かな?
金曜は職場の送別会(結局、パスしてしまう)、それに十三でレイトを観る、さらにワールドカップの最終予選のイラン戦。眠い目をこすりながらTVを注目していたけど、結局情けないゲーム運びで負けてしまった。布団に入ったのは1時を過ぎていた。
6時に出発と思っていたのに、目が覚めたのが6時前。いかん!
ごちょごちょ用意をして、地道を走る予定を高速を使い挽回するけれど、登山口に到着したのは9時15分。
この笹ガ岳をカバーしている登山地図はなく、1/25,000は信楽だけどそれもあんまり役に立ちそうにない。一番役に立つのは「関西周辺の山250」。この本を買ったことすら忘れていた。行きしなの道中で食料を補給する際に必要なページをコピーして携行した。
国道307号線を枚方方面から走り、旧信楽町に入り、朝宮を越える、信楽の中心地に入る手前に国道422号線の分岐がある。ここを上野方面(右)へ入り422に乗る。10分もすれば、右手に木製の登山口の標識が見えてきます。ここにはハイカー用の駐車場はないので、国道の路肩に駐車することになりますが、そこそこ交通量があり、どのクルマもビュンビュン飛ばしているので注意が必要。もちろん、地元の方への配慮も忘れないようにお願いします。
周回コースが取れる。「関西周辺の山250」では時計回りのコースが紹介されているけれど、地図の等高線を読む限り、解説通りの時計回り(東コース)を登るのは、本当に直登一本槍のようなので、ボクは時計の逆周り(西コース)で歩こう。このコースだと稜線の歩きも楽しめそうだしね。
数軒ある集落に入る小道。舗装された道路を少し進んだ石灰(?)の製造工場の脇から登山道が始まる(ここがちょっとわかりにくいですね)。あぜ道のような踏み跡を辿り、森に入る直前に、ちょっとした白い解説板が置かれているので、それが目印になります。
ここで一度荷物を下して、準備体操にストレッチ。リースを締め直して、スパッツも付ける。信楽までの道中、北側の斜面には白いものも残っていたし、地面はまだ濡れている。こんなときにこそスパッツはカッコだけではなく本当に役に立ちます!
赤いアコード(シビックやったかな?)が打ち捨てられている横を通過すると、すぐに三叉路。ここを左に取ります。下草の代わりにササが茂っている。「笹ガ岳」の名前の通り。ほどなく植生の中に導かれ、もうすっかり山の中。勾配はゆるやか。流れを横切る丸太橋を渡ると一気の急坂が待っています。薄暗い杉林の中、どんどん高度を稼ぐ。息も荒くなり、まるで比良の坊村コースの最初のような錯覚に陥る。
それも束の間。やがて角度が緩やかになり踊り場のような場所に出ると、巨岩が現れその根元から清水が湧き出てます。ザックは下さないけれど、ほっと一息。手袋を外す。
上には何もないので、この水はきれいなはず。しゃがんで手ですくう。口に運ぶと苦い。あれっと思うと、この苦さは煙草の味だ。この水で口の中が浄化されたんのか、二口目は美味しかった。
また、すぐに直登。ひ〜ひ〜言いながら頑張っていると、コースの左右、草の上には白いものも見え出した。もう一度沢をまたぎ頑張ると...。杉の植生に混じって、雑木林になってくる。ようやく頭上が明るくなってきた。稜線も近い。
山を歩いていて、何が一番嬉しいか。登りがきついとついつい足元ばかりに視線が落ちる。息も荒くなって、思考力が低下する。筋肉中に消化しきれない乳酸がたまっていく。でも、ふと上に視線を上げると、ついさっきまで永遠に続いているかのように思えた木々のこずえ。っその先の空が透けて見えて明るくなってきた。もう少しで尾根だ。登りが終わる。この空が近づいて、明るさが増したとき。これが一番嬉しいな。
よろよろと稜線に立つ。大きくため息だ。風が強い。琵琶湖を越して吹き付ける北風が冷たい。ここからも、簡単には上りからは解放してくれない。コース上にはあ白い絨毯が敷き詰められている。歩くと、当然足跡が付き、軽登山靴の裏には雪と落ち葉がこびりついて下駄を履いたようになる。この感触、久し振りだ! この冬、この感覚はもう味わえないと諦めていたのに...。
最後の急坂を踏ん張ると、そこには巨大なタヌキが! さすが信楽の最高峰!
荷物を置いて記念撮影。しかし、風が強くて冷たい。それに風を避ける場所もない。それでも身体は火照って、汗もびっしょり。
汗が冷たくならないうちにフリースを着込み、ストーブに火を入れる(ちゃんと新しいボンベを買いました)。が、あまりの風の強さにマッチから火がつかない。5本ほどマッチを浪費してようやく付きました。そしたら、ゴーゴーとガスが燃える音はしているのにちっともお湯が沸かない。今度は風除けを買わないとあかんかなぁ。普段の3倍ほど時間を食ってようやくお湯が沸きました。その頃にはすっかり身体中が冷え切ってしまい、擬似冬山体験は大変でした。もし、ラーメン用に沸かしてたらもっと時間が必要だったでしょうね。
下山は東コースを降りる。西コースも急だったけど、東の方が凄い。とにかく一直線にズバっとコースが切ってある。これは香港並です。九十九折とかそんなものは一切なく、この定規で引いたような直線のコースには驚く。しかも、コースが掘れたりして、結構痛んでいる。ここを上がってくるのはさぞかしツライことでしょう。
もし、笹ガ岳を歩かれるのであれば、西コースをピストンされることをオススメっします。ピストンが嫌なら、今日のボクのように西コースから歩き始める時計の逆周りで周回されるのがいいと思います(ただ、東コースはコースに隣接している樹木が大胆に払われているので、この夏にでも、登山道の整備が行われるのかもしれませんね)。もちろん、最新の情報を仕入れてご自身でご判断くださいね。
|