12/27・久々の香港 ハイジャンクピーク

お手軽だけど 素晴らしい景観が楽しめる


モヤに霞むハイジャンクピーク(釣魚翁)
鋭く切り立った山容は魅力的でしょ!

 

さて。
今回はゴールデンウィークに韓国の雪嶽山で果ててしまって以来の海外遠征。 およそ1年ぶりの香港山行です。
昨年、初めての香港遠征を決行した際にお世話になった光頭老さんが主催されているグループとご一緒させていただく予定。昨年はメイルの交換だけで、実際にお会いすることもお礼を申し上げることも出来ませんでした。今回はようやくお会いするだけではなく、実際にコースもご一緒いただけるので凄く楽しみ!

で、その光頭老さんとご一緒するのは12月28日。ボクが香港に到着したのは26日。
着いた日はまだ感覚が付いて行けないなくて、何だかぼーっとしていました。旺角をうろうろして、夕食の後に軽く映画を二本観てホテルに戻っただけ。そうこうして徐々に人波にも、広東語のシャワーにも慣れ、ようやく頭の中が「香港モード」に切り替わってきました。
27日は軽く足慣らしのつもりで、九龍の東、清水湾半島にあるハイジャンクピーク(釣魚翁/High Junk Peak 344m)を歩いてきました。
ところがこの山、お手軽な割にはとても素晴らしいコースで、様々な要素が盛りだくさんに詰め込まれたおもちゃ箱のような存在でしたょ。

今回の遠征にあわせて「準備も万端」と言いたいところですが、日本を脱出するまで結構忙しかったのでスーツケースに服装や装備を投げ入れただけ。最高気温が20度って、いったいどんな服装が適しているのかもわからないほどボケていました(香港からソウルに移動するので、氷点下用の下着も投げ入れなければ...)。目新しいところでは、愛用の軽登山靴のリース(靴紐)を買った(買っただけで、換えてはいない)のと、ソックスも購入。ホントなら、靴の手入れをしてミンクオイルをすり込むぐらいはしておかんとあかんのになぁ...。

そして27日の朝。ホテルで食事を済ませ(今回は珍しく朝食がセットになっていた)、リースを付け替えて出発。不思議なものでリースを取り替えるだけで、気分が新鮮になりました!
緑色のラインに乗り換えて鑽石山(ダイヤモンドヒル)でMTRを降りる。ここのバスターミナルから91番清水湾行きのバスに乗ることは調査済み。香港のバスは比較的どんどん来るので、そんなに時間は気にする必要はありません(もちろん例外もあるけどね)。
今回、この釣魚翁を選んだのは、光頭老さんのレポートに掲載されている写真を拝見して、いかにも香港の山らしい姿をしていることと、ピークからの展望がとても素晴らしいということ、そして何よりも登山口までのアプローチが短く簡単明快であること。

91番は既にレーンに停まっていて、半分くらい座席は埋まっていた。乗客の半分以上は「今からハイキングへ行きます」という姿。すぐに出発。
途中「順利邨」という高層マンション群を過ぎると、ドッカ〜ン!っと目の前にクーロンピーク(飛鵝山/Kowloon Peak 602m)の岩肌がそびえ立っている。この山のインパクトは強烈。よっぽど途中下車して、このピークを目指そうかとさえ思うほどの山容。でも、今日は300そこそこのハイキングコース用にしか心の準備が出来ていない! 明日には少々ハードな予定も待っていることだし、クーロンピークは次回のお楽しみに取っておこう。山は逃げないしね。

ダブルデッカーの91番はこまめにお客さんの乗降を繰り返して走る。途中から左手には海が見え始め、すっかりのどかな雰囲気。やがて、目的地の五塊田(Ng Fai Tin)に到着。ここではボク以外にもハイキング姿の家族連れが降りた。
バス停の向かいには東屋が建ち、案内板もある。ここが「ハイジャンクピーク・カントリートレイル」の北側のスタート地点。まぁ、この入口は間違えることはないでしょう。
軽く準備運動とストレッチ。装備を整えて、地図を確かめて出発。家族連れは一足先にスタートしている。良く整ったコースで、全く地図が読めないとか、どっちの方角へ進むのかすらわからないという方でなければ迷いようがないと思います。以降のコースも良く整備されていて道に迷う心配はまずないでしょう。

すぐに展望が開けてきて、丘陵コースになります。少々霞んでいるものの、申し分の無い快晴。左右両方に海を見ながらの散策は、力が抜けてとてもいい感じ。
でも、すぐにちょっと上りがきつくなって息も荒くなる「こんなハズでは無かったのに...」。
丘を越えるとシャンヤンシャン(上洋山/Sheung Yeung Shan 260m)が眼前に現われる。すぐにヤッケは脱いで、半袖シャツ姿になる。温度計は20度ちょっとを指している。でも、空気は乾燥している上に、吹き抜ける風は心地良く、そんなに暑さは感じない。汗もすぐ乾く。
荒い息のまま、まずは260mのピークへ。「チョイサン、チョイサン」とボクの弾んだ息を感じたのか、先行していた家族連れのお父さんが声を掛けてくれる。ボクは切れ切れに「チョイサン」と一回言うのが精一杯(情けないなぁ)。水分を補給して、一息入れる。
ここからは無名の前衛山を従えたハイジャンクピークのちょっと東側に傾いた姿を目にすることが出来る。これが350mもない山とはとても思えない。

ここからは楽しい尾根筋歩きで、少々のアップダウウンはあるものの高原の散歩道の趣。
左手にはのどかな海と小さな島々が見え、昔ながらの集落がある。右手には造成中の土が剥き出しの土台には高層マンションの建設が始まろうとしているのか、見える海は都会の海の色をしている。このアンバランスな景観と感覚が香港らしいなぁ。
一つ目の分岐で前衛山へ入るコースには、進入禁止の表示があったので、素直に従う。ハイジャンクピークも進入禁止だったら嫌だなぁ。
この巻き道(本来のカントリートレイルのコース)に入ると左手(東側)の海は見えなくなり、ハイジャンクピークの山容が迫ってくる。その鋭角に切り立った姿はボクに歩かれるのを拒んでいるように見えるし、「ほんまに歩けんのか?」と不安にもなる。
やがて、ちょっとした広場に出て左手への分岐。幸い何の表示も無い。ここがピークへの道だと容易に理解できる。さぁ、ここからが本当のスタートライン。水を一口飲んで、いざ出発!

少し息は荒くなったものの、取り付きからピークまで本当に一直線。尾根筋を一気によじ登る。「はぁ、はぁ、もうちょっとや」なんて思っているうちに見覚えのある香港の三角点が目に入る。ここがハイジャンクピーク。少々あっけない到着。
山頂には逆方向(南側)から歩いてきた先行者が2名。ここでも「チョイサン、チョイサン」。今回はボクもしっかり答える。それにしても、香港のコースは一直線。ジグザグに進むとか、九十九折で高度を稼ぐなんて概念はまず存在しない。
いやしかし、そんことはこの際関係ない。ここにあるのは、言葉に出来ないほどの景観。360度遮るものがない。これでもう少し風が吹いてモヤが取れてくれれば言うこと無しやのになぁ。でもそれはちと贅沢かな。
四方のうち、左手(東側)は100mほどの切り立った崖になっていて、恐くて見下ろすことも出来ない。
振り返ればレーザーヒル(鷓鴣山/Razor Hill)、その左奥にはデンとさきほどのクーロンピーク、さらに奥には双耳のバッファローヒル(水牛山/Buffalo Hill)とウエストバッファローヒル(黄牛山/West Buffalo Hill)が霞んでいる。さらにその先には明日のコース、マーオーシャン(馬鞍山/Ma On Shan)があるはず。そして、東北側には昨年歩いたシャープピークが見えてもよさそうだけど...。残念ながらその姿は見えない。惜しいなぁ。

しばし、うっとりとした時間を過ごした後、ピークから切り立った南側の斜面を一気に降下していくコースを辿る。こりゃ恐い。
途中からまだ若い潅木の林に入り、やがて開けた場所がトレイルコースとの合流点。ここは四差路になっていて、今日のボクは東へコースを取り、このまま清水湾路に出てバスに乗ることにする。
木立のコースを辿ると幾人もの軽装備のパーティと出会った。ほんとに気軽に楽しむことが出来るいいコースですね。ピークハントを目的にしなくても、息苦しい街中での生活の息抜きにもってこい。

やがて、道路に出るとバス停の名前をチェックする間もなく91番がやって来た。もちろん飛び乗る。
帰りは経由地のMTR彩虹駅で下車。明日の集合場所を下見する。「あぁ、お腹が空いてきた!」

このコースはホントに気軽でいいコース。ハイジャンクピークへ登らないのであれば、しっかりとしたスニーカーで充分です。時間も半日で充分ですし、お弁当を持ってお出かけになるのも楽しいかもしれませんね。但し、何が起こっても自己責任で対応してくださいね。
91番のバスは頻発していますし、ミニバスもMTR彩虹駅やMTR将軍澳などとの間をぶんぶん走っています。コース上やスタート地点には売店はありませんので、水やスナック類は最寄のMTR駅周辺などで準備してください。

※参考地図:
(地図名)新界西北部郊區地図 第三版・2000/Countryside Series North-West New Territories Edition 3 2000
(発 行)地政総署測絵所発行/Survey & Map Office Lands Department

おつかれさまでした。

 

MTR鑽石山バスターミナル9:12〜9:45五魂田バス停9:55〜上洋山10:15〜釣魚翁への分岐10:40〜10:50ハイジャンクピーク(釣魚翁)11:00〜清水湾路沿いバス停11:30〜11:55MTR彩虹駅

 

分岐点から見上げる西側の斜面 三角点で記念撮影
ピークから東側を見下ろす 下山途中に見上げる東側の斜面
これが300mの山なの?