突然ですが、香港へ行ってきました。
とうとう日本を飛び出して海外遠征です。4泊5日の滞在中にこれからご紹介する「Castle Peak/青山」と「Sharp Peak/[虫冉]蛇尖」を歩いてきました。
「香港に山なんかあるのか?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、皆さんが思っている以上に山が多くて、街から飛び出すと緑が豊かな自然も残っているのです。また、山と街が隣接しているところもあり、数十階建ての高層マンション群との一種異様なコントラストは香港ならではの風景とも言えるでしょう。
今回は手元には何の資料も無かったので、香港在住の日本人の方で香港の山をあちこちほぼ毎週歩いていらっしゃる「光頭老」さんに貴重なアドバイスと情報をいただきました。
光頭老さんには、見も知らずのボクからのメイルでの様々な問い合わせに親切かつ迅速にお答えいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
旺角のホテルをまだ暗い朝の6時に出発。「天気はどうかな?」と空を見上げるとビルの隙間から見えるほんのわずかな空間に月が輝いていた。いい天気になりそうだ。
MTR(地下鉄)の終点筌湾からバスで屯門へ。ここからはタクシーで青山禅院(地図上では青山寺)まで、タクシーに乗っている時間はほんの数分程度。
装備を整えて、ストレッチと準備体操。快晴。雲ひとつなく青空が広がっている。ただ、全体に薄くモヤ(スモッグ?)がかかっているのが残念。
ここに来るまでに遠くからでも今から歩くキャッスルピーク(青山・583m)が「どっかーん」と鎮座しているのが確認できる。
屯門の街から見上げると圧倒的な存在感を持つ山容で、意欲がかき立てられる反面「しんどそうやなぁ」と構えてしまうのも確かだ。
高層マンション群を横目に一気に駆け上がる、山頂付近はほとんど木がなく、岩がゴツゴツ突きだした男性的な急峻なピーク。
しばらく急な坂を歩く(いや、このコースはずっと急な坂ばかりだ)。
火曜の朝早くに歩いている人なんかいないと思っていたのに、降りてくる人これから歩き始める人がぽつぽついる(多くは二人組)のには驚いた。ほとんどがリタイアされたおじさんおばさん。ここから頂上付近までは必ず誰かが視界に入っていた。すれ違ったり、追い越したりするたびに「ちょぃさん(おはよう)!」と向こうから声を掛けてくださるのはほんとに嬉しいものです。
山門をくぐると、もう一息で青山禅院。黄色い門を入りすぐ左にコースを進むと木立の中を階段のコースが始まる(ここは工事中。工事が完成したら禅院の門をくぐる手前から階段のコースへ行けるようになる)。このセメントで固められた急坂の階段を鉄製の手すりを頼りに一気に上がる。
振り返れば、屯門の高層マンション群が眼下に広がっている。この妙なアンバランス感がこのキャッスルピークの魅力のひとつ。
もうひと踏ん張りで一番手前の無線中継施設がある広場。ザックを降ろして一本立てる。息は荒いし、汗びっしょり。見上げれば屏風のようにそびえ立つキャッスルピークの頂が見える。「まだあんなにあるのか」とちょっと溜息。遠くから見ても近づいてもこの山の男性的な荒々しさは変わらない。
この広場からすっかり木立はなくなり、岩だらけの登山道、セメントの階段もなくなる。登る角度は相変わらずの急角度、ついつい足が止まってしまう。視界が効いて、後どれくらいかがわかるのが恨めしいやら勇気づけられるやら...、ちょっと複雑な気分だ。
稜線の鞍部にある東屋が視界に入ってきた。もうひと頑張り。
ここまで来たら急に風が強く吹いてくる。
西側の視界が一気に開ける。陸地は低い禿げた丘陵地帯が広がり、海を挟んでは中国領・深[土川](シンセン)市の蛇口の街並が遠望できる。振り返れば屯門の街越しに緑が豊かな九徑山(らしい)を含む「大欖郊野公園」の山並み。足下には高速道路かバイパスか? ここまで大型車のエンジン音が上がってくる。
山頂まではもう指呼の間。狭い山頂には各種の無線中継設備が所狭しと並んでいる。その施設を縫うようにコースを詰めるとようやく三角点に到達だ。いやぁ、しんどかった。
しかしなかなか達成感(いや「征服感」かな)を与えてくれる山だ。
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頂上にはすごく狭い
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ピークから南へは緩やかな笹原の高原風の稜線が続いている。予定ではここから北上して良景邨という集落へ向かうはずだったけど、急遽変更して南へ。
ところが、見てみるのと歩いてみるのとではずいぶん違うもので、砂が浮いた岩のコースを急角度で降下していくのはなかなか大変。
途中、何度も何度も今までいたピークを振り返っては「ようあんなとこ登ったなぁ」と充実感を味わいながら...。
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下山途中にキャッスルピークを振り返る
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ピークも含めてこの稜線の西側一帯(禿げて荒れた丘陵地帯)は「青山[革巴]場」といって軍隊の演習場になっているそうだ。
急な下りを一気に歩くと(実は、勢い余って転倒すること一度、また分岐点を間違って道無き道を下ること一回)、新しくできたバイパスに突き当たった。ところがこのバイパス、フェンスに囲われていて横断出来ないし下をくぐることもできない。仕方がないので、右手(西側)にバイパス沿いに進み、フェンスにある引き戸(ドア?)に鍵が掛かっていないのをいいことにバイパス内に入り幅広い側道(歩道?)を歩く。しばらくすると「龍舟酒店」というバス停に着いた。
なかなか来ないバスにしびれを切らして通り掛かったタクシーをつかまえて屯門中心まで戻りました。
存在感のあるいい山です。
香港からの帰りに、空港へ向かう道すがら(鉄道でもバスでも)右手に海を挟んでそびえ立つ大きな山がこの「キャッスルピーク・青山」です。香港へお立ち寄りの際は是非ご覧ください。
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帰りの空港からCastle Peakを遠望
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このコースは半日で充分です。もし、ちゃんとした靴(登山靴・トレッキングシューズ)をお持ちでしたら上記のコースも可能ですが、スニーカー程度(革靴やヒールの靴では無理ですよ!)でしたら中間地点の広場までか、ちょっと無理をして山頂までピストンも可能かもしれません(現地の方はスニーカーで歩いていらっしゃいました)。途中に売店などはありません。筌湾か屯門中心で飲料水などをお買い求め下さい。
(※装備や体調・天候などを考慮して、あくまでも、個人の責任において無理せず、楽しい山行をお願いします)
※参考地図:
(地図名)新界西北部郊區地図 第三版・2000/Countryside Series North-West New Territories Edition 3 2000
(発 行)地政総署測絵所発行/Survey & Map Office Lands Department
おつかれさまでした。
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