「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」

06/Feb./2004

  

今回は梅田ガーデンシネマのレイトショー上映で観て参りました「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」。原題:「獨臂拳王大戰血滴子」、1976年の香港映画。

日本でのカンフーブームといえば、誰しもが知る「燃えよドラゴン(龍争虎門)」のブルース・リー。しかし香港ではそれ以前に活躍していたトップスターがいた。それがジミー・ウォング(今やすっかり黒社会の大物だとか...)。彼の代表的な作品のひとつである片腕ドラゴンシリーズ、その2作目にあたる作品がこの「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」。

前作「片腕ドラゴン(獨臂拳王)」では敵の策略によって片腕を失ったが、血の滲むような修行で残った左腕を鋼鉄に鍛え、復讐を果たすというストーリー。
今作はその前作で弟子を倒された師匠の封神無忌が、復讐に片腕ドラゴンに襲いかかるというお話し。

この封神無忌が使う武器というのが題名にもなっている血滴子(空飛ぶギロチン)。この武器を言葉で説明するのは至難ではある。
鎖に繋がれたその先には半球形の小さな傘があって、無数の刃が付いている。 傘を相手の頭に被せて首を切断するという、それは恐ろしくてトンデモナイ武器なのだ。オマケにどういう構造になっているのか、使用しない時にはコンパクトに収納できるというスグレものだ!(これは欲しい!)
「キル・ビル」でGOGO夕張が使っていた武器の元ネタだったらしい。登場する際のBGMまで同じらしい。
しかしこの封神無忌、僧侶の割には残忍で、人違いで無関係な人を殺してしまったりする無茶苦茶なキャラ。おまけにギロチンなくても異常に強いのには畏れ入った。

お話しはこれといったドラマは無く、ひたすら戦いが繰り広げられる格闘物。 誰が一番強いか武道大会まで開かれて、次々と登場するわの格闘家達。
戦いの前に踊り出すムエタイ戦士や、腕が伸びるインドのヨガ格闘家、トンファーを振るう日本の剣客など実に怪しげなキャラが盛り沢山。これらの戦いがなかなか良く出来ていて楽しめる、カンフーファンにはもってこいの傑作だ!

またこの片腕ドラゴンでは、ブルース・リーのような圧倒的な強さで敵をなぎ倒す展開では無く、いかにして相手の弱点を付くか、相手の得意技を封じるかという戦い方をしている。罠を張った場所に誘い込んだりと、一見なんだか卑怯なようにも見えてしまうが、彼が片腕だということを考えればそれもアリなのだろうか。

片腕にみせる為、右腕を懐に隠しているのがわかるなんてご愛嬌。
そんな事を考えずにこのカルトなカンフー映画を堪能するのがよろしいでしょう。
ジミー・ウォングは他にも刀を使う剣侠モノの「獨臂刀」シリーズや、勝新太郎と共演した「新座頭市/破れ!唐人剣(獨臂刀大戰盲侠)」なんてのもあるようです。

次回は「最後の恋、初めての恋」をご報告します。