「北京(2001年12月)」

北京の変貌を目の当たりにする


その3・北京の学園街(中関村・五道口)

  

動物園は北京の中心地から西北の方向にある。ここからさらに北にある中関村の一体は北京の学園街だ。北京大学、清華大学という中国でもトップクラスの大学を始め、大小20は大学がある。
バスに乗って北京大学へ向かう。ずいぶん前にここで8日間過ごしたことがある。北京大学はちょっと日本の常識では考えられないほど広大なキャンパスを持ち、塀で囲まれたキャンパスの中に一つの町がすっぽりと収まっていると言ってもいいほどだ。学内に学生用の住居(寮)があるのはもちろん、教職員用のアパート、各種商店、食堂、銭湯、理髪店、郵便局、銀行、書店...。生活に必要なものは何でもある。学内から一歩も出なくても充分生活できるのだ(教職員の子弟用の幼稚園から中学校まである!)。

校門のチェックは厳しくて、運が悪いと学生証などの提示を求められる。今回の訪問は全くのプライベートだから何も持っていないので、一番警備が手薄な(?)南西の端にある通用門のようなゲートを通ることにした。ダメだったらあきらめればいいからね。
もちろん、まったく何の問題もなく中に入れた。
ここは学生寮が密集する一帯。公団アパートのような味もそっけもない5階建てほどのコンクリの建物だ。一部屋に2段か3段のベッドが4つか6つ備え付けてある。だから、8〜18人部屋ですね(凄い!)。
こんな建物が50〜100棟はあるんだから、キャンパスの広さもご理解いただけるでしょうか。もちろん、学部毎に校舎もあるし、巨大な図書館(開校100年を記念して建て替えられたらしい)も鎮座しています。
年末のこんな時期の夕方に北大(ペーター)学生たちは何をしているのかと言うと、例によって琺瑯の大きめのカップを持ってうろうろしていたり(食堂へ行くのか、食事を終えたところか)、洗面器を持ってうろうろしたり(銭湯へ行くところか、入浴を終えたところか、髪の毛が濡れていたら後者)、テニスをしたりバスケットをしたり...。日本の学生とあんまり変わりませんね。きっと勉強をしている人が多いと思うけど、そんな学生はボクたちから見えないところに居るに違いない。
書店や文房具を売る商店に立ち寄って、西門から外に出ました。

歴史を感じる北大・西門

キャンパスの南側一帯は小さい飲食店や衣料品店がごちゃごちゃあったのに、そんなもんキレイに無くなっている。そして、大きな道路(三環路?、四環路?)がド〜ンっと開通している。
いやぁ、北京の開発のスピードは驚くばかりだ。
この辺りにあったお茶屋さんへ寄ろうと思っていたのに、いったいどこへ転居したのやら...。この道路を南に渡ると「海淀図書城」という書店村がある。ビルに書店が雑多に入居していたり、新華書店、外文書店、とにかく本屋さんが密集している一角なのだ。一軒、一軒見て回ることはとてもじゃないけどムリだ。それに、どの店も並んでいる商品(本)の顔ぶれがそう変わらない。

北京の街角

そろそろ夕方。寒くなってくる。
今夜は朝鮮料理を食べる予定。そのために情報を仕入れてある。北京語言学院のそばに韓国村があり、そこにサムギョッサルが美味しいお店があるのだ。
ずっと立ちっぱなし、歩きっぱなしなので、奮発してタクシーに乗る。タクシーに乗る時は、前もって行き先を漢字で書いたメモを用意しておき、乗車した際に運転手に見せれば良い。発音が不自由なので、口で伝えたら何処へ連れて行かれるか不安。
さんざん苦労してお店に到着したのは、タクシーを降りてから1時間以上も歩き回った後だった。もうすっかり夜の帳も降りて、真っ暗の中、もうあきらめかけていたところに、ひょっこりお店の前に出た。感激だなぁ(その割には、もうお店の名前も忘れてしまったけど)。
味の方もなかなか美味しい。しかもハングルが通じるのがなんとも心強い。やっぱり中国語もしっかり勉強せんとあかんなぁ。
途中で、韓国人の団体客もどかどかっと入って来た。やっぱり韓国人も中華料理にあきるのかな。
このあたりを五道口という、北京語言学院の城下町(?)で、この学院は留学生が多いから留学生相手の商売が多いんですよ。食堂、ネット・カフェ、衣料品、日用品...。けっこう垢抜けていてなかなか。中関村よりもおしゃれかもしれない。
以前には考えられなかったけど、ブティックを思わせる衣料品店も多く、チャンツィイーの影響かそれとも「花様年華」のマギーチャンのようになりたいとみなさん考えたのか、チャイナボタンを使ったお洒落な服が数多く売られている(でも、ありゃ〜っと思うほど高くて、手が出せない)。
それと多いのがCDやテープを売っている「音像店」。本には一応定価が表示されていてその値段なんだけど、この音像商品には定価がない。お店によって価格がまちまちでややこしい。それに、正規盤、海賊盤、輸入盤が入り乱れて、同じアーチストの同じタイトルのアルバムのハズなのに何種類も売られているのだ。このあたりのいい加減さは、中国らしくて好きだなぁ。
サムギョッサルをさかなにしんしんと冷えゆく北京の街で飲むビールは旨かった!

つづく