「北京(2001年12月)」

北京の変貌を目の当たりにする


その2・北京の見どころは...(天安門広場・動物園)

  

さて、翌日は故宮へ行く。
せっかく北京まで来たのだからここには行っておくべきだというポイントが何カ所かはある。まず、万里の長城。そして天安門広場に故宮。あとは天壇公園に北京動物園かな。
冬晴れの気持ちいい朝に出掛けたのが天安門広場。思ったほど寒くない(ような気がする)。地下鉄の駅から上がってくるとどっかーんと広がっている。空も広いよ。この広場もっと広いような印象を持っていたが、意外とそうでもない。広場の正面には天安門。天安門に向かって左手が人民大会堂だ。
ここには西単ではあまりお目にかかれなかったボクのイメージする中国人民の方々が沢山いらっしゃる。きっと地方から出てきた人たちなんだろうな。皆さんに混じってボクもパチリと記念撮影だ。

日頃の行いが良いから、快晴無風。毛主席も笑顔で迎えてくれました

故宮へは「牛門」まで行くが、そこから引き返す。
故宮の西隣は中山公園があり、その西に中南海という政府の要人が住む一角がある。中山公園の道を北へ向けて歩く。この辺りにはまだ胡同(フートン)と呼ばれる古い様式の平屋建ての街並みが残っている。ちょっと中に入っただけで、クルマもあまり通らないし、人も少なく静かな下町の趣に変わる。ここだけ歩いていると、数年前の北京と何も変わっていないような気もする。
例によって、地図を読み間違えていて、少し歩いても西単に通じる交差点に行き当たらない。仕方ないので、バス停でバスを待つ。別に急ぐ理由もないしね。

街角で見かけた楽しい落書き
何て書いてあるかわかりますか?

この道を通るバスに乗っても動物園には行けないけど、終点で乗り換えればいい。近代化されつつある北京にはそんなに興味がないので、早く下町へ行きたいよ!
ほどなく、そんなに混んでいないバスがやって来る。バスには車掌さんがいて、彼女から切符を買う。車窓から見る北京の街並みは、北に進むにつれて、昔ながらのそれに変わっていく。やっぱり北京はこんなにごちゃごちゃして、自転車がうじゃうじゃ走っているような街並みじゃないとね。
終点はちょっとしたバスターミナルになっていた。道端には怪しげな何かを焼いている屋台が並び、ゴミやビニール袋が散乱して、一角には廃材が積み上げられている。汚い子供が走り回り、大きな荷物を抱えた人が行き交う。
中国の人にはあまり「並ぶ」という習慣はないので、ここのように始発のバス停は戦争状態だ。運転手と車掌が乗り込むと、みんなダッシュでその車両に群がり、我先に乗り込む。いやはや、凄い迫力だ。
幸いこれから乗るバスは中途半端に郊外へ行くためか、こちらが拍子抜けするほどガラガラ。10分もしないうちに動物園に到着だ。

動物園は静かなもんだ、「大熊猫館」へ向かう。
北京の動物園でもやっぱりパンダは特別扱い。りっぱな館(やかた)が彼等のお住いなのです。この「大熊猫館」の中をヒトは通り抜けられるようになっていて、パンダ様を鑑賞させていただく、という仕組み。しかも「大熊猫館」に入るには別料金が必要なのだ!
切符を切ってもらって「大熊猫館」へ入る。
「おれへん!」
パンダが一匹もいないじゃないか! やられたなぁ。
そんなに楽しみにしてたわけでもないけどがっくりうなだれて廊下を通り過ぎて「大熊猫館」から外に出る。屋外にもパンダ様用の運動場が何ブロックか設けてあり、そこにパンダ様が何匹かだらっと寝そべっている。ぴくりとも動かないお腹がときたま動いて、どうやら息をしているみたい、生きてるな! 別の運動場では枯れ木に登ったパンダ様が枝に腰掛けて、これまた微動だにしない。

牙を見て、パンダもクマなんだなぁ、と思ってしまう
お客さんにお尻を向けて、柔らかい冬の陽射しの中、ぐっすりと眠る

他に誰もいないから、小石でも投げつけて動かしてみたい衝動に駆られるが、国際問題に発展したら大変だ。ぐっと我慢する。すると、地元の親子連れがやって来て、パンダのすぐ上で手を叩いて、パンダを驚かそうとしている。でも、まったく反応ナシ。そうか、北京のパンダは図太くなっているのか。
まぁ、生きているパンダが見られたからいいとするか。

この北京動物園はパンダ以外にもいろんな動物がたくさん飼育されているはずです。あんまりウロウロできなかったんだけど、凄く広くて、中国なのに人が少なくて、ちょっと寒いけどとっても気持ちよかった! 皆さんも北京にいらっしゃる機会があれば一度どうぞ。「大熊猫館」は正門からすぐにありますので、時間がなくてもok。また、団体でお越しの場合は「大熊猫館」に隣接する駐車場まで大型バスで入る事が出来ますよ。
動物園を出ると、目前にある交通量の多い道路をくぐる地下道。ここに入る階段からなにやらいい匂いが漂ってくる。これっていったい...。うん、間違いない! これは焼き芋の匂いだ! 美味しかった! この焼き芋が今回の北京で出会った一番美味しい食べ物だったかもしれない(あっと言う間に食べてしまって、写真を撮る事が出来なかった。こんなに美味しかったのに皆さんにお見せできなくて残念!)。
記憶の中にある北京動物園は、道路の向かい側に大きなバスターミナルがあり、この建物を囲むようにいろな屋台が並んでいたんだ。その屋台で串焼きのシシカバブーを楽しみにしていたんだけど、バスターミナルそのものがキレイに姿を消し、囲いで覆われた広場が淋しくあるだけだった。ちょっと残念。当時(1986年)、この辺りにはウイグル族の方が多く住んでいて、食べ物は美味しいけど、スリや盗難に注意しなければならない、とガイドさんに教えて貰っていた。
焼き芋はウイグル族の食べ物ではないけれど、ほんとに美味しかった。これが唯一の名残なのかな。

つづく