「座頭市」

18/Nov./2003

  

今回は「座頭市」、場所は梅田ピカデリー。
ベネチア国際映画祭で見事「監督賞」に輝いたことでも話題をよんだ北野武監督作品。新しい形のエンターテイメント時代劇ということだ。僕も興味を惹かれてやって来た次第、劇場で北野武監督作品を観るのは初めてだ。

オリジナルの「座頭市」を観ていなかったので、今回始めて知ったけど、主人公自身が“座頭市”という名前だったんだね。
何故盲目なのか、何を目的に旅をしているのか、その強さはどこから来ているのか、何故追われているのか、そして何ゆえ金髪なのか...とことん解らないまま謎だけど、これがまたとにかく強い。仕込み杖一本で立ち並ぶ相手を次々と斬り倒す様はもはや人間業ではない。
お話し自体はこれといってたいした話じゃなく、悪漢どもを討ち果たす任侠劇。だけど、脇を固める役者も揃っている。
浅野忠信もなかなかいい役。悪い奴らに加担しているとはいえ、それは自身の名誉、そして病弱の妻の為というツライ現実に追われたからだ。その描き込みも細かく描かれてれているし、普通なら観客の同情を買って最後は救われるかと思うところなのに、座頭市と対決してその強さにアッサリやられてしまうところがまた恐ろしいね。

音楽にしろ、タップダンスにしろ、もはや時代劇では無いのだけど、一応理にかなっているというかリアリティがある。昔ながらの人情劇と殺陣で構成されたストーリーよりも、こういったエンターテイメント的な要素があって、それでいて時代劇というのがやはり国際的な場で外国人に受けた要因なんだろうね。

監督、役者、そして国際映画祭での受賞という話題が無ければ誰も観向きもしなかったかもしれない。しかし、これが新たな邦画の形のひとつとして、日本がこれから世界に誇れる作品になりえるかもしれないね。
しかし女形の役者はどう観てもやはり男だ。あれはやめて欲しかった...。

次回は「ドッグ・ソルジャー」をご報告します。