「ゲロッパ」

20/Oct./2003

  

君蔵の部屋も随分長い間滞ってましたが、ひさびさの更新。
今回は動物園前シネフェスタで観ました「ゲロッパ」をご報告します。

井筒和幸監督ひさびさの新作映画ということで、巷ではやたらと宣伝されてましたこの映画。しかし僕は実際、井筒和幸監督の映画というのを観た事が全然無い。
また“ゲロッパ”とは、ソウルの帝王と呼ばれる“JB(ジェームス・ブラウン)”の名曲“セックス・マシーン”の歌詞“Get up !”のことらしい。
しかしこれもまた、僕はソウルという唄がどんなジャンルなのかも知らないし、ジェームス・ブラウンが唄っている映像は観た事はあるけどそもそも全然しらん(そういやジャッキー・チェンの「タキシード」に出ていたナ)。

お話しはこれといってはっきりした筋も無いハチャメチャなコメディ作品。
西田敏行は小さな組でヤクザの親分をしており、何故か心底ジェームス・ブラウンに心酔している。一方、腹心の岸部一徳も同じ。この二人のジェームス・ブラウンねたはよっぽどのファンでなければついていけない。なんのこっちゃわけがわからない会話が展開される。

みんな唐突に会話を切り出して、しかもその内容が全然説明もされないので、いったい何の事なのかがわからないので頭がゴチャゴチャになる。しかも舞台が大阪から始まるだけに、みんな関西弁を喋っていてこれがまたわかりづらい。確かに日常なリアリティだけど、邦画だけに字幕が出ないから、緊張感がなくてけっこう言葉を聞き流してしまうんだなぁ。

前半はそんなノリだけに話がわからない。
刑務所に戻される組長のために、名古屋で行われるコンサートに来日するジェームス・ブラウンを誘拐しようとしたもんだ。しかしそれはジェームス・ブラウンのそっくりさん(最初ホンマもんかと思った、っていうか全然顔知らないから)。でも、何でそれが身代金欲しさの誘拐に変わるンだろう? 「組長のため...」はどこいったんだ?

それでもお話はドタバタしながらもノリで進展していく。
娘の常盤貴子が愛知県のラグーナ蒲郡(マリンリゾート施設)で行うイベントの企画に奮走し、やがて皆がそこに集ってくるようになる。そして、そのイベントが有名芸能人のそっくりさんコンサート、なんちゅー企画や。

しかし、前半あれだけ話はドタバタしていたのに、後半は一気に集束し話がまとまる。なるほどナカナカよくできた話だけどなぁ。しかし、これだけ説明の無い映画も珍しいもだ、多分これが邦画だから観れるんだろうなぁ。
同じ日本人だから、それぞれ役者が演技する人物の個性がわかりやすいからだ。これが外国人の演技する洋画だったりすると、言葉のイントネーションまでわからないから何がなんだか話はわからないので皆途中で帰りたくなるだろうね。

お話しとしてはたいしたものでもないが、登場人物とノリで笑える映画。
ちかごろメジャーかアートな映画ばかり観て来た人にはたまにはいいかもね。

次回は「えびボクサー」をご報告します。