「アダプテーション」

08/Sep./2003

  

ひさびさにシネフェスタへやって来ました。相変わらずシネフェスタは人が少ない。この日も平日のレイトショーとはいえ、公開から三日目なのに観客はサッパリ。10人もいなかったんじゃないかな? しかしここの劇場、公開予定作品のラインナップだけは相変わらず凄い。
香港映画は「ブルーエンカウンター」「インファナル・アフェア」、韓国映画の「黒水仙」など、期待できそうな作品が並び、またしても前売券を衝動買いしてしまった。

今回観たのは「アダプテーション」2002年アメリカ。
ここシネフェスタでも何回も予告編を見せられていたし、主演のニコラス・ケイジが双子の兄弟を一人二役で演じるという設定に、面白そうなコメディ作品だとわりかし期待していた。しかし、この作品そういうコメディではなかったのだ、予告編を観て想像していたのと全然違う!
別に映画が面白くなかったわけではない、ただ意味がよくわからなかった。結局なんだったんだろう?

お話しは実在する脚本家チャーリー・カウフマンが主人公。
実際に彼が体験した話しをチャーリー・カウフマン自身が書いたストーリー。彼は「マルコヴィッチの穴」の脚本執筆後、次の仕事に受けた脚本依頼がニューヨーカー誌のジャーナリスト、スーザン・オーリアンが書いた「蘭に魅せられた男」という本の映画化だった。
この本はスーザン・オーリアンが記者として、フロリダに住むジョン・ラロシュという栽培家をインタビューした話しの内容。ジョン・ラロシュは天然記念物指定されている蘭を、ネイティヴ・アメリカンの若者と組んで不法採集・栽培している男だった。

映画のお話しはこのチャーリー・カウフマンの現在と、スーザン・オーリアンがジョン・ラロシュを取材していた過去と交錯しながら進んでいく。
主演のニコラス・ケイジが脚本家チャーリー・カウフマンと、架空の双子の弟ドナルド・カウフマンの一人二役を演じる。
このチャーリー・カウフマン、頭が禿て来ていておまけに太り気味。優柔不断でおまけに妄想癖というホンマにダメダメな男という設定。ニコラス・ケイジがそんな役を上手く演じていることから、この映画は面白そうなコメディだと思ったんだけどね。

スーザン・オーリアンを演じるのはメリル・ストリープ。
ジョン・ラロシュを演じるのはクリス・クーパー。
クリス・クーパーは本作で見事アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したんだけど、そんなに演技に強烈な印象は受けなかったかなぁ。まぁ他に出演していた映画を観てないのでエラそうには言えませんが。

どこまでが本当でどこまでがつくり話なのか、そんな境界線がよくみえない不思議なストーリーと怖さに惹きつけられる魅力があったものの、予告編とその軽快な音楽に笑えるコメディ作品と随分期待していた僕にとっては肩透かしどころか「うっちゃられた」ような気持ちだった。

冒頭あたりに出てくるネイティブ・アメリカンの若者達三人のうちひとりが、「ウインド・トーカーズ」に出ていたナバホ族の兵士のひとりだったと思うけどどうだろう?

次回は「ゲロッパ」をご報告します。