「フリーダ」

06/Sep./2003

  

今回は観たのは「フリーダ」2002年アメリカ。
メキシコの女流画家フリーダ・カーロの半生を映画化した作品だ。フリーダ・カーロについては多少ながらも僕でも知っていた。後年に名を残してきた画家はゴマンといるかと思うが、女性では唯一僕でも名前を知っていた存在だ。

1925年18歳の時、フリーダはバスの事故により脊椎と骨盤にそれぞれ三カ所、右足は12カ所を骨折。折れたバスの手すりの鉄パイプが腰から子宮まで貫通するという凄まじい傷を負う。その為彼女は生涯30数回に渡って手術を受ける事となり、常に襲う背骨と足の痛みに苦しむこととなる。

フリーダは1929年22歳の時、有名な壁画画家であったディエゴ・リベーラと結婚する。この時ディエゴは42歳、三度目の結婚である。結婚生活は上手くいくかのように思われたが、フリーダは体に負った大きな傷の為に、二度の流産をする。さらにその後、もともと女癖が悪いディエゴの悪癖は、とうとうフリーダの妹クリスティーナにも及ぶ。ディエゴとクリスティーナの関係は十年近くも続いていたといわれる。

体に負った大きな傷と、最愛の夫の裏切り。これほどまでに人生に苦痛を味わってきたフリーダが、気持ちをぶつけてきたのが絵画だ。
絵画をとやかくいうのは得意では無いのであんまり説明できないけれど、彼女の描く絵は“美しい”とか“素晴らしい”とかいう言葉で語れるものじゃない。あまりにも“痛々しく”て“悲しく”て、強烈な印象を与える。
しかしそんなフリーダが最後に描いたといわれる絵。
キャンパスに大きく口をあけた果物が並び、そのスイカに死の八日前に加筆したといわれる“ビバ・ラ・ビダ!”(人生万歳!)という文字が描かれている。「スイカ“ビバ・ラ・ビダ!”」は僕の好きな絵のひとつだ。

とそんなことで今回の映画を観に来たわけだ。
フリーダ・カーロを演じるのはサルマ・ハエック。あんまり観かけたことなかったけど、いろいろと映画に出演しているらしいメキシコ出身のラテンアメリカ女性。
お話しは激動のフリーダの人生を綴った感動のドラマだけど、結構泣けること期待していたわりにはまぁ普通。
冒頭の事故は凄まじいが、ディエゴと出会ってからはどっちかというと恋愛ドラマ。わりかし元気なように見えて、事故の傷はどうなったの?なんて思えてしまうが、まぁフリーダの人生を詳しく知っているわけでは無いので実際はそうだったのかもしれない。
僕はもう少し絵画に焦点を当てたお話しだと思っていただけに、時間が長めなのは少しツライ。最後にもっと“ビバ・ラ・ビダ!”(人生万歳!)を表現してほしかったかな。
絵画の視点よりもフリーダ自身の視点で観る方が楽しめると思います。

次回は「アダプテーション」をご報告します。