「街の灯」

02/Sep./2003

  

さて、続いては「街の灯」1931年。
「サーカス」の次に制作された、チャップリン42歳の時の作品。
盲目の花売り娘に恋をする浮浪者チャーリー。チャップリン作品の中でも有名な映画だけど、昔の記憶は全然残っていなかった。しかし今回の映画祭で改めて観て、これは感動した。そして最も大笑いした。

お馴染みの浮浪者チャーリーがすっとぼけて登場。
ふと街を歩いていると出会ったのが花売りの娘。また一目見たその時から恋をしてしまったチャーリーは、娘から一本の花を買う。その時、娘は目が見えないことに気付いた。
何とかしてこの娘を助け出したいと思うチャーリーだが、先立つものが無い。
とその晩、いつものように河原で寝ようと思っていたところへ、酒に酔っ払った紳士が現れて思い立ったように川へ身投げしようとしていた。
あわてて止めに入ったチャーリーは彼を必死に説得する。とんだ目にあいながらも、考え直した紳士にすっかり気に入られたチャーリーは彼と酒場へ出かけた。この紳士、実は大富豪だったのだ...(何故自殺しようとしていたのかサッパリわからんが)。

お話しとしてはややまとまりにかける話だけど、要所要所を楽しませてくれる。放浪紳士と盲目の花売り娘との交流のエピソードはそれ程ある訳ではなく、どっちかというとそれ以外の話しの方が長い。
酔った時にだけしかチャーリーを親友と思い出さない紳士が実に歯がゆいので、お話は遅々として進まないンだなこれが。
しかし大金を求めての賭けボクシングに参加するシーンは、また腹がよじれそうなくらいのひさびさの大爆笑。
そして最後のラストシーンは涙が溢れてくるほどの感動。
最後に感動を促すようなエピソードが随所にあったような印象も少ないけれど、これだけ最後で泣けたのは何故だろう。
やはり最後で出会うチャップリンの演技が実に素晴らしかったからだ。
娘に出会った時、自分から名乗り出る訳でもない、ましてやこの映画ハナから台詞など無い。
その表情、仕草が物語っているンだなァ。

今回のチャップリン映画祭、実に楽しませてもらいました。観る度に、また新たな発見があるかもしれません。スクリーンで上映されることはこの後何十年と無いかもしれないね。
また放浪紳士チャーリーにスクリーンで出会えることを祈りましょう。

次回は「HERO」です。