「トエンティマン・ブラザーズ」

12/Aug./2003

  

久々に天六ユウラク座へやって参りました。最近ここ天六では、他ではやっていなようなマイナーな作品がたて続けに上映されています。
先日もコリン・ファレル主演の「アメリカン・アウトロー」をやっていました。コリン・ファレルはアメリカ映画の中でも僕の注目する俳優の一人。
初めて観た彼の映画は「タイガーランド」。素行不良、だけど仲間思いで芯の強い訓練兵だった。「マイノリティ・リポート」では典型的ともいえる嫌われ役をソツ無くこなし、「デアデビル」ではネジの一本とんだキレた悪役を演じるなど演技の幅も広いし、話題作への出演が多い。
しかし、惜しくも「アメリカン・アウトロー」は観逃してしまった。その頃はちょっと仕事が忙しかった(と言うことにしておこう)しネ。まぁ、今後京都でまたレイトショー上映があるようなので是非チャレンジしてみたいと思っています。

さて、今回の映画「トエンティマン・ブラザーズ」(2002年オーストラリア)も注目する俳優が出演している。
「メメント」で記憶に苦悩する主人公を演じ、「タイムマシン」ではまた違ったSFエンタテイメント映画の主人公らしく、科学者&冒険家というストレートな役を演じいた。そして「モンテ・クリスト伯」ではこれまでと一変、悪役として徹底的に卑劣に振舞い、最後は情けなくやられてしまうという役どころだった。
そう、彼も注目のガイ・ピアースだ。
コリン・ファレルのような極端に異なる役柄を使い分けるというものではないけれど、ガイ・ピアースの鋭い眼差しが光る横顔から独り言のような台詞を僕は気に入っている。

映画のお話しの舞台はオーストラリア。
ダイル(ガイ・ピアース)を長男とする、次男のマル(ダミアン・リチャードソン、日本では初顔か? ガイ・ピアースの推薦)と末弟のシャイン(ジョエル・エドガートン、スターウォーズEP2に出てたらしい、ひょっとしてルークの育ての親かな?)は三兄弟。
彼らの職業は強盗、鮮やかな手口で現金を強奪する完全犯罪のプロフェショナル集団というわけだ。
そして彼らのアリバイに用いられるのがなんと刑務所。刑務所に服役中ということになっているのは、裏で弁護士と刑事が手を引いているからだ。
今回もまたなんなく任務をやりとげ、現金を強奪した三人。
いつものようにアリバイ作りの為にいったん刑務所に入ったのだが、どうも様子がおかしい。「目撃者がいた...」という証言に、刑務所から出られなくなってしまったのだ。
実は自分達は利用されていただけだと兄弟は知る。
しかもダイルの愛する妻まで弁護士と手を組んでいたのだった。嫉妬と、復讐に燃えるダイルの運命は...?

この映画、あまり説明的なところが無く、一気に物語りが進む。
刑務所に入るというアリバイ作りのトリックもイマイチよくわからない。それにはめられたというのに、その弁護士に釈放の手続きを依頼したりする。このお話し、一番の敵役は弁護士なのか、裏切った妻なのか、黒幕の刑事なのか、さっぱりわからない。
兄弟の過去に触れるシーンもあったりもしたが、結局最後まで輪郭がはっきりわからないままだ。
そうこうしているうちに新たな強盗計画が持ち上がる。兄弟は再び例の弁護士と手を組んで、オーストラリアの競馬の祭典メルボルン・カップの賭金を強奪しようとする。この襲撃と、まんまと金を奪って逃走するシーンは映画の中でも面白いところ。
でも最後はまたよくわからない展開で、最終的にハッピーエンドを迎て映画は終わってしまった。
とにかくこのよくわからない理由は、人間関係や展開が複雑になっているから。この手の映画はあの手この手のトリックで難関を突破する活劇っぽい話なので、もうちょっとシンプルに展開してほしかった。
ひょっとして映画が終わってから後の続きの話の方が、一番面白いのかもしれない。

ガイ・ピアースとしてはそれほど際立った存在感があったわけじゃないけど、地元オーストラリアの映画だけに今までで一番気楽に演じられていて弾けていたかもネ。彼に注目するなら観ておくのもいいかもしれません。

次回は「ハリウッド★ホンコン」をご紹介します。