「ハリウッド★ホンコン」

18/Aug./2003

  

今回は久々にテアトル梅田。ここで7月末日まで有効の共通回数券を事前に買っていたのに、行きそびれ続け、とうとう8月に入り、回数券はパーになってしまった。あぁ、なんてもったいない! 仕方ないけど正規の料金で観た。 この日は上映最終日だというのに、予想以上のお客さんの多さに驚く。香港映画も捨てたものではい。それともフルーツ・チャン監督か、主演のジョウ・シュンの人気だろうか? こんなに人がいるとは思いもしなかった。割と若い人が多いね。

さて今回の映画「ハリウッド★ホンコン」、2001年の作品。香港映画だけど、フランス、日本の配給会社も協賛しているという合作。原題は「香港有個荷里活」。“荷里活”=“ハリウッド”で、香港に“プラザ・ハリウッド”というショッピングセンターがあるみたい。

香港の都市部にある“ダイホム・ビレッジ”という下町が舞台。
下町と言うよりスラム街。立ち並ぶバラックと狭い路地。この街の一角で豚肉屋を営む男だけの三人家族が登場。父親と兄、弟。この親子、見事なまでにみんなとてつもない“デブ”。他に登場するのはヒョロっとしたチンピラの青年。
お話しはこの豚肉屋の親子とチンピラの青年の前に、上海から来たという娘(ジョウ・シュン)が現れるところから始まる...。

この不可思議な上海娘に振り回される親子と青年。
最初、映画を観ている限りは、他愛のない恋愛話か、フルーツ・チャン監督特有の香港の一部を切り取って描写しているかのようなドキュメントちっくな作品か、そんなストーリーだと思っていた。
ところが映画が中盤に差し掛かってくる頃、物語りは急劇に動き始める。
これはちょっと僕にも予想しなかった展開。そしてもう後戻りはできないかのような展開に凄惨な描写。だけど、それでも画面にはどこかユーモアに溢れていて妙に面白い。
そうこうしているうちにストーリーは、半ば強引にクライマックスにもっていかれ、あっぱれに終わる。いやいやなかなかよくできたお話しだ。

「小さな中国のお針子」のジョウ・シュンは、天使のように可憐に振舞いながら、悪魔のように男を陥れる娼婦っぷりがお見事! こんな娘ホンマにいたら怖いだろなぁ〜。
チンビラの青年役はウォン・ユーナンという人でフルーツ・チャン監督に路上でスカウトされた新人俳優。現在は「金魚のしずく」に出演していた岡村隆史似のチョイ・ティンヨーと組んだ歌手として活躍中とか。

映画の舞台となっているダイホム・ビレッジは、政府の手によってすべて取り壊されしまっている。そこにかつて生活していた人々を記録したかのようなリアリティを持たせ、かつブラックユーモアに包まれたお話し。これが新しいフルーツ・チャン監督の作風かもネ。
僕は劇中、兎に角よだれがでそうなくらいに焼きブタが食べたくなりました。ホントに美味しそうだ!

次回はまたチャップリン映画祭をご報告します。