「少女の髪どめ」

28/Jul./2003

  

今回は久々に仕事終わりにさっそうと向ったのがテアトル梅田。
ちゃんと事前に前売券を買っていたんだけど、この日は火曜の男性サービスデーだった。「少女の髪どめ」2001年イランの映画。

イランの首都テヘラン。この街の建築現場で働く17歳のイラン人青年ラティフ(ホセイン・アベディニ)が主人公。
その現場に、新たに雇われた一人のアフガン人少年、ラマートがやってくる。自分より幼いラマートに、今まで自分がしていたお茶汲みや食事の用意などの楽な仕事を奪われたラティフは腹の虫が収まらない。
しかしそんなある日、ラティフはこのラマートのある秘密を知ってしまう。それはこの少年が、実は長い髪の美しい少女だったこと...。

一目見たその時から、青年は彼女を守る為に自分の犠牲もいとわない存在となった。そんなイランの心温まる愛の映画、だと思ったんだけどね。

主人公のラティフを演じる兄ちゃんがなんだかなぁ。役者なのか素人なのか、演技が上手いのかどうなのかよくわからん。角度によっては二枚目の俳優なのかと思ったら突然変な顔し出すしね。性格もめったやたらとすぐに喧嘩を始める短期な奴だし、言ってることも無茶苦茶のようなええかげんな奴だ。
普通なら絶対共感もてない奴なんだけど、だけどどうして彼が必死に少女を追うところだけは応援したくなる。
しかし、彼の行動は異常なまでにお金に執着する、それでいて彼女には何故か会おうとしない。今ひとつ彼の心境がわからない。それが無償の愛というものだったのだろうか。

そしてお話は最後まで救われない。
唯一、最後に少女がかすかに微笑んだのがせめてもの救いか。
まったく一言も喋らなかった少女の顔が印象に残るお話しです。

つい最近観た「風の絨毯」と違い、同じイランでもこうも違うものかと写し出されるシーンはまったく別の国だと思えるほど。しかし、これが本当のイラン、そしてアフガンという国なんだろうな。でもその少女の微笑みに一度は会いに行ってみるのもいいでしょうね。
建築現場の親方のおっちゃんがイラン映画には珍しくもの凄くいい人に思えました。

次回はチャップリン映画祭をご紹介します。