「ペパーミント・キャンディー」

15/Jul./2003

  

この日最後に向ったのは九条シネ・ヌーヴォ。
とうとう一日四本目の映画観賞(自己最高記録を更新だ!)、ここで「ペパーミント・キャンディー」(99年韓国)を観て参りました。
シネ・ヌーヴォに来たのは今回が初めて。劇場がどこにあるのかちと迷いましたが、中に入ると劇場というより芝居小屋という感じ。スタッフの感じといい、売られているビデオや雑貨といい、ホンマに映画好きが集るところやなぁ。ちょっと僕にはまだ雰囲気に馴染めないような...。

さて今回の映画「ペパーミント・キャンディー」。
以前に公開された映画のリバイバル上映。僕は未見なので意気込んで来たけれど、初日だったこの日の観客はちらほら...。しかも、半分は劇場支配人らしき人と知り合いのようだった。

しかし、映画は凄い。
「この映画観ずして韓国映画を語る事なかれ!」とそこまでは言い過ぎだけど、でも韓国映画を観るなら絶対観ておくべきだと思う。
特に主演のソル・ギョング、この人は凄い。最初ひとりで同じ人間を全部演じているというのか疑ってしまった。後で気付いたが「燃ゆる月」に出ていた人や。あの映画では損な役回りやったね、でもこの映画は断然いい。ここまでできる役者、最近観ていない。僕の中では今年一番の主演男優賞をあげたいくらいだ(遅いっちゅうねん)。

映画は1999年から始まる。
その男(ソル・ギョング)は「昔に帰りたい〜!」と絶叫して果てる。
その三日前、彼は何をしていたのか。
そして五年前、12年前、15年前、19年前…やがて20年前と、物語はこの破綻した男の人生を辿って過去へと遡っていく。

洗練されたストーリー。そしてソル・ギョングの演技。これほど魅せられた映画は久しぶりだ!
映画は二時間ほどの長さ。この日すでに三本映画を観て来た後なのに、少しも眠気が起こらないほど惹き付けられた(ヌーヴォの座席は狭いのでお尻はもの凄く痛かったんだけど)。

なぜこの男の人生は破綻したのか。
どこで人生が狂ったのだろうか。
映像はつぶさに男を捉えながら、そこに登場する人物、台詞、小道具などが過去を遡って張られる伏線にもなっている(カメラのオチは思いもつかなかった)。時代を遡るとともに、韓国の歴史をも辿るようだけど、そこは僕はちょっと時代背景はよくわからなかったかな。

しかし韓国映画は凄いなぁ。
この日観た「イルマーレ」もそうだけど、韓国映画は凄く人間味があって哀愁漂うかのような雰囲気にはいつも飲み込まれる。こんなのアメリカ映画では絶対味わえない。やっぱり韓国人と日本人は近いところがあるから感じられるのだろうか。でも邦画であまりいい映画は観かけないけどなぁ(邦画あんまり観ないけど)。

いやぁさすがに疲れた一日。
でも映画が良かったので満足して帰れました。

次回はイランの映画「少女の髪どめ」をご報告します。