「ダブル・ビジョン」

30/May/2003

  

シネフェスタを後にしてやってきたのはホクテンザ。
ここで本日公開の「ダブル・ビジョン」(原題:雙瞳、2002年香港・台湾・アメリカ)を観ました。
さすがに初日だし、土曜の昼間とあって天六でもそこそこ人は入ってましたね。半分くらいは席は埋っていたと思います。でもその中のさらに半分くらいはいつもの客層で、どうみても映画を観に来たという人ではなさそうですけどね。

さて“雙瞳(ダブル・ビジョン)”とは?
これは中華圏に古くからある宗教のひとつ、道教に出てくる一つの目に二つの瞳を持つ超人のことらしい。これがいったいどういう存在なのか?
映画を観ればわかることですが(ネタばらしになります!)、五つの地獄を越えた後には永遠の命が与えられるとかなんとか。その地獄というのが、氷地獄、火炎地獄、腹裂き地獄、心臓抜き地獄、舌抜き地獄。

映画は台湾・台北を舞台に、この思想に基づいた猟奇的な連続殺人事件が発生する! 
最初の被害者は冷房の切られているオフィスで真夏に凍死していた。
次の被害者は、燃えてもいない自宅の部屋で焼死体にて発見される。そして第三の被害者は、腹部を切り裂かれ、内臓が取り出された後、再び腹部に戻さ れているという陰惨さ、おまけにその傷口の縫合に呪文のような文字が描かれていた。
原因不明のこの不可解な事件に、台湾の国際科刑事(レオン・カーファイ)とFBIより派遣された捜査官(デビッド・モース)が事件解明に挑んだ。

宗教的な思想に基づいた連続猟奇殺人事件といえば「セブン」とかが有名ですね。その中国版といってもいいのだろうか、中華圏でこういったスリルサスペンスの作品が作られるというのはたいへん興味深い。
しかしこの映画は、そういった猟奇事件の犯人を追うというスタイルを本筋に、主人公であるレオン・カーファイの内面的な人間ドラマの部分も描かれている。ダブルビジョンの謎ともあいまって、幻想的な場面も登場したりと一風変わった演出がなされている。予告編で観られるCGちっくな場面なんかがそうです。そうしてやがて病んだ彼の心は救われるのだ。

この映画は実は真の部分はそこにあって、単なる事件解決だけのお話ではない。でも、一回観ただけではなにがなんだかすべてを理解できない作品なのだ。映画の本筋の事件だけでなく、内面のドラマ部分をも理解するには何回か観ないといけないだろう。
それだけに軽い気持ちでこの映画を観ると、おそらく眠たくなることこの上なし(僕は途中また寝てしまった)。

ま、そんなたいそうに考えることもないかな。興味があったらご覧ください。

5月ももう終わりですね。
6月は引き続きレスリー追悼上映や、「the EYE【アイ】」「二重スパイ」「武勇伝」「黄龍/イエロードラゴン」なんかを観る予定です。
ではまたヨロシク!