「欲望の翼」

30/May/2003

  

さて続けて観ましたのは「欲望の翼」(原題:阿飛正傳、90年)、ウォン・カーウァイ監督の作品。
出演者はなんとズラリとそろった豪華キャスト。レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、ジャッキー・チュン、アンディ・ラウ、トニー・レオン。これだけ揃った役者陣でいったいどんなお話なのか? と期待をしていたのだが、ストーリーそのものは特になんでもない話。1960年の香港を舞台に、男女5人のそれぞれの思いが交錯する青春群像劇とでもいえばいいのだろうか。

レスリーはジゴロ?
そのレスリーに惚れてしまったのがマギー・チャン。だけど、捨てられてしまう。次にレスリーと付き合うのがカリーナ・ラウ。だけど、やっぱり捨てられてしまう。レスリーの友達だけど、カリーナ・ラウに惚れてしまったジャッキー・チュン。アンディ・ラウは警官で、レスリーに捨てられたマギーを見守るうちに思いを寄せる。
こう書くとなんだかよくわからないが、そのとおりよくわからない映画。だけど、そのひとつひとつが強烈に印象なを与えるのだ。

実はウォン・カーウァイ監督作品を観るのは今回が始めて。この人間関係を中心に描いた筋の無いような劇情はおもわずジャ・ジャンクー作品を思い出してしまった。いくらこのキャストとはいえ、さすがにまた眠ってしまいそうでしたよ。とはいえ、お話はともかく出演者の演技っぷりは見事。普段あまり観ないような表情や間がなかなか興味を惹かれる。

90年というと丁度レスリーが歌手引退から役者として復帰した年。それまでは「男たちの挽歌」「チャイニーズ・ゴーストストーリー」などに出演していましたが、本作で91年香港電影金像賞で主演男優賞を受賞。以降、役者として躍進した年でもある。

マギー・チャンって、僕自身はジャッキー・チェンの「ポリスストーリー」のイメージが強いンだけど、やっぱり役者やなぁ(気付くの遅いか)。カリーナ・ラウはこないだの君さえいればもそうだけど、いつも捨てられる女の役やね。
ジャッキー・チュンはあまり目立たない役どころだけど、最後の台詞「俺のところこい!」時の間と動きはいいなぁ。アンディ・ラウは今回また地味で静かな役柄だけど、それがまたいいんだ。

最後の最後でトニー・レオンが登場。でもトニーの出番はストーリには関係ない?意味不明だ。この「欲望の翼」はもともと2部構成だったとかで、トニーの登場は続編への布石だったのでしょうか?でも結局は時間や予算の都合で制作はされなかったようですけどね。

お話うんぬんというより、それぞれの役者の観る映画のような気もします。これだけの豪華キャストを揃えた作品、今はもう観ることができないであろうから、一度ご覧になるのもいいかもしれませんね。

次回は天六で観ました「ダブル・ビジョン」をご紹介します。