「青の稲妻」

01/May/2003

  

今回観ましたのは「青の稲妻」。原題は「任逍遥」2002年中国・日本・韓国・フランスの合作、劇場はシネ・リーブル梅田です。
以前に観ました「プラットホーム」のジャ・ジャンクー監督作品。他にも「一瞬の夢」などが有名で国際的にも高い評価を得られています。しかし「プラットホーム」は僕にとってひたすら長くてツライ映画でした。
今回の「青の稲妻」もそんな感じだろうか。それに制作スタッフの名前にやたら日本人の名前が出てくるし、作品の配給もオフィス北野。どうやら制作の段階から何かしら関わっているようなんですね。
そういえばこの映画の主人公もシャオジイとビンビンという2人の19歳の青年で、俳優としてはまったくの新人。この二人の青春映画というところでしょうか、舞台は違えどノリは北野武監督の作品というわけだ。

中国の地方都市・大同(ダートン)が舞台(中国の地理にはあまり詳しくありませんが、どうやら鉱山都市のようです)。学校を卒業したばかりの19歳の青年シャオジイとビンビン。
改革開放路線でめまぐるしく変わる中国の社会情勢(何がどう変わっているのかイマイチよくわかりませんでしたが)。学校を出たものの定職は無い。それはこの二人だけではという訳ではなく、青年たちは皆そうなのだ。これといってすることも無く、その日その日を気ままに過している若者。しかし、くすぶりながらも「いつかどこかで大きい事をやってやる!」と気持ちだけは未来を掴もうとしている。

劇中に頻繁に唄われる主題歌『任逍遥』。
台湾の人気歌手リッチー・レンのヒット曲で“何ものにもとらわれず、自由に生きる”という意味が込められている。そして歌詞の中に“英雄となる男の条件には、生まれも育ちも関係無い”とある。まさに彼らのテーマ曲だったのだ。
とまあストーリはそんな二人の他愛の無い話。
シャオジイは街で踊る年上のダンサー、チャオチャオに恋をする。一方のビンビンは、北京の大学に受験しようとする恋人のユェンユェンと付き合っていたが、自分は仕事も無いし、お金も無い、もちろん北京に行くすべも無かったのだ。
解説を読んでみると、なんとなく想像が付きそうでもあります。しかし実際映画を観ていても、何が何やらさっぱりわかりません。淡々と彼らの日常が綴られているだけ。
その中に、時折時代を表すニュースがテレビでよく流れている。これは「プラットホーム」の時もよくありましたね、あっちはラジオのニュースでしたが。

こんな感じだから、いつものように前半はまた寝てしまいました。後半に入るあたりから目が覚めてよく観て見ると、この映画、実に間が長い。

会話がおそろしく遅い。ひとりが台詞を喋り、もう片方がそれに応えて喋り出すのに、その間やたら沈黙が続く。ひどいときには30秒近く待たされたりする。しかもその話しの内容が実に他愛のものだったりする。
とにかく長い、いくら日常を描いているとはいえ、ここまで来ると逆に何か非現実的だ。また延々と同じシーンを繰り返す。この繰り返されるシーンに、観ているこちらにすれば、次に何かあるのかと期待したら、別に何も無い。実によくわからない。

僕にとってこの監督の作品が何故素晴らしいのか、そしてどう素晴らしいのか、さっぱりわかりません。

主人公の青年二人は新人。他にも「プラット・ホーム」の主演ワン・ホンウェイや、その恋人役を演じたチャオ・タオが年上のダンサー役。またジャ・ジャンクー監督自身がちょこちょこ出演していたとのことです。冒頭で何故かオペラを熱唱していた青年がそうだとか。

以上、次回は「ガン&トークス」をご紹介します。