「キープ・クール」

23/Apr./2003

  

今回はまた動物園前シネフェスタにて観てきました。
「キープ・クール(原題:有話好好説)」97年中国。監督はチャン・イーモウ、「あの子を探して」の前に撮られた作品で、日本で初公開されたというわけです。

主演はチアン・ウェン、「鬼が来た!」の監督・主演。助演にリー・パオティオン、チャン・イーモウ監督作品「菊豆」や「上海ルージュ」でコン・リーと共演してます(もと戯劇学院の教師でコン・リーは教え子らしいです)。他にも脇役にチャオ・ベンシャン(「至福のとき」主演)、グォ・ヨウ(「活きる」主演)や、なんとチャン・イーモウ監督自身なんかがチラッと出て来たりして楽しませてくれました。

お話の舞台は北京。
露天商を営むシャオ(チアン・ウェン)は、別れた恋人のアンホン(チュイ・イン)にストーカーのようにつきまとっていた。しかしある日突然、アンホンが現在付き合っている男、劉とその手下が現れ、シャオはまたたく間に袋叩きにされてしまう。その際、シャオはたまたま通りかかった通行人のチャン(リー・パオティエン)が持っていた鞄を取り上げ、それを劉達にぶん投げたことから、この三人の奇妙な関係がうまれる。鞄の中に入っていた。パソコンが壊れてしまったのだ...。

人間の、些細な出来事がやがて怒りに燃える鬼のように変貌するという感情を表し、そしてそのまた逆もあって、一転して人が変わったように平静を取り戻し他人にまで配慮するような、そんな人の感情の移り変わりを風刺を利かせて演出している。しかしこの映画、どうも...。
ストーリは別にしても、撮影が手持ちカメラによるもので(それが狙いとはいえ)映像はブレて不安定だし、またカットが次々と変わるので観ているこっち側は実に目が回る。
状況判断もしにくい、それにお話しにハッキリとした筋が無く、どうもいきあたりばったりの展開。それはそれでそういう作品だし、話しとして展開が気になるところなので観続けるものですが、さすがに最後のレストラン店内でずっと同じ場所で会話が続く場面には疲れてしまい、不覚にも寝てしまいましたよ。

感動を求めるドラマでも無いので、チャン・イーモウらしからぬ作品ともいえばそう。ある種実験的な作品だったのだろうか。「まぁ、こんな作品も撮ってるんだね」というのが素直な感想です。
この作品を観て、「チャン・イーモウの作品を観た」とは言えないし、逆にこの作品を観なくても「チャン・イーモウの作品は観ていない」とも言う必要も無い、そんなところでした。
主演のチアン・ウェンはいいですね。「鬼が来た!」とはまた違った役柄で、やっぱりこの人なかなか芸達者。
今度また公開されるチアン・ウェン主演の「ミッシング・ガン」も楽しみです。

次回は「新・空手バカ一代 格闘者」をご紹介します。