「戦場のピアニスト」

29/Mar./2003

  

ようやく観てきました「戦場のピアニスト」、2002年ポーランド。アカデミー賞で見事三冠に輝きましたね。
でもアカデミー賞の受賞をきっかけにして観のではなく、以前から観たかったけどなかなか時間がとれず(人が多いのも好きではないので)、やっとこさ観たのです。場所は三番街シネマ、18:40からの最終回です。

アカデミー賞で脚光を浴びたので「ひょっとして人が多いのでは...」とちょっと不安でしたが、実際は思ってたほど入っていなくて、50人もいなかったようです。三番街でも一番小さい(でも一番観やすい)4階での上映です。

第二次世界大戦のポーランドはワルシャワを舞台に、実在したポーランドのピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの自伝とロマン・ポランスキー監督自身の幼少の頃の体験談を元にしたお話し。
主人公ウワディスワフ・シュピルマンは、ワルシャワに住むユダヤ人。彼の職業はピアニスト、ワルシャワのラジオ放送局でピアノの演奏をしていた。だが1939年9月、ナチスドイツはポーランドに侵入し、ワルシャワの街はドイツ軍に占領された。
10月、ヒットラーの命令により、ワルシャワにも周囲を壁で囲んだゲットー(ユダヤ人居住区)の建設が始まる。ワルシャワ中のユダヤ人がこのゲットーに強制移住させられ、封鎖された。ナチスのユダヤ人根絶が始まったのだ。シュピルマンも家族とともに、このゲットーへと移り住むこととなる...。

お話しは単純というか、第二次大戦のナチスによるユダヤ迫害を題材にしたホロコーストもの。ピアニストであるシュピルマンは特別な存在であったわけではない。
ナチスの迫害に対し勇敢に戦ったわけでもなければ、最終的に犠牲となった悲劇の主人公でもない。ピアニストとしてその演奏で人々に影響を与えたわけでもないのだ。
彼はただひたすら、飢えとナチスの恐怖に逃げ惑い、それこそ生き抜く為だけに、ゲットーを脱出し、隠れ、渡り歩き、そしてたったひとりで戦場に生き残った。そしてその奇跡には、さまざまな人との巡り合わせがあった。
それだけにこの映画、過剰な演出がされているわけではない。ドラマチックなお話は無く、ただ淡々と彼の生き抜く過程が描かれている。だがしかし、すべて事実にそってリアリティに描写されている。
その光景は目を見張る。あまりに狂気の世界だ。

廃墟となった街にひとり残っていたシュピルマンだが、ついにあるドイツ軍将校に見つかってしまう。
そして彼の前でピアノを弾くシーン。まさに圧巻。なんかこう、いつもの泣いてしまうというのとは違う感動が込み上げてきました。
僕にとってはこのシーンの為だけに、この映画があったように思えますね。

ワルシャワのゲットーの広さは最長の所で3kmほどだったということだから、大阪でいうと北区と同じくらいでしょうか。この面積に最大時には50万人もの人々が移住させられたというというから、もの凄い人口密集地だ(計算してないので、多分)。またワルシャワ解放後、そこに生き残っていたユダヤ人はわずか20人という...。

アカデミー賞受賞にふさわしい、見応えのある大作でしょう。また主演男優のエイドリアン・ブロディも、その名誉に充分納得できるだけの演技をしていると思います。
是非一度はご覧下さい。

ではまたサイナラ