「パープルストーム」

13/Mar./2003

  

さて今回はまた天六ユウラク座へやってまいりました。
ここで今公開されていますのは「パープルストーム」という香港映画、99年の作品です。
観に行ったのは公開日の翌日、夜19:20の回。主演がダニエル・ウーともあって、そこそこコアなファンがくるんだろうかと思っていたらやっぱり天六、いつものようにいつもの客でした。みんな初日に来ていたんだろうね。

他の出演者にはカム・コクリョン、エミール・チョウ、ジョシー・ホーなどなど、僕はあんまり知りませんが...。「第19回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)」では最多の5部門(撮影賞、アクション賞など他)を受賞したとかけっこう評価されている作品らしいが、さてどういうところでしょう。

‘ひこそ*’の役どころはテロリスト。もうこの時点で彼は普通の映画なら悪役なんですが、この映画の面白いところはここから。彼は映画が始まって早々、銃撃戦の際に頭を強く打って記憶を失ってしまう。警察に捕まった‘ひこそ’は、すっかり記憶を無くして自分の名前さえ思い出せない。拷問に近い警察の取調べに対しても、彼は何も答えられないのだ。

そこで警察は一計を案じた。記憶を失っている‘ひこそ’を、彼は実はテロリストに潜入捜査していた捜査官だったと嘘を教えるのだ。しかも御丁寧に彼が住んでいたという家や恋人(だった女性)まで用意して偽の記憶を刷り込む。記憶に無い‘ひこそ’だが、もとよりテロリストだった時の記憶も無い。困惑しながらも、やがて彼はそれを受け入れ、またテロの組織に戻るふりをして潜入捜査に入ることとなる。

予告編を観た限りではけっこう面白そうなストーリだと考えてましたが、この映画がまたちょっとややこしいのが、テロ組織のリーダーが‘ひこそ’の父親であり(本当の父親なのかどうなのか結局最後まで確信できなかったけど)、また‘ひこそ’の妻も組織の一員だったりする。また警察の対テロ部隊の隊長もわりかし全面に活躍していて、前半はほとんど彼が主人公になっている。
‘ひこそ’も記憶を失っているので自分で判断した行動ができず、まわりに流される展開。心の葛藤ばかり描かれていて、全然彼の観せ場がないのだ(それを演技しているのだからまあそうなのでしょうが、話しが進まないので私的にはアクションで活躍して欲しかったかな)。

なんだか焦点が定まらない話し、ちょっと消化不良に終わってしまいました。主人公に焦点を絞った方がよかったのかも、それか派手なアクション映画路線で行った方が良かったのかな。
ちなみに「パープルストーム」というタイトルは、テロリストが使用する最近兵器の名前です。原題は「紫雨風暴」、この最近兵器が雲にまじって雨が降ってそれに触れると皆バッタバッタと死んでいくというわけね。

ここ天六では次ぎはまたジャン・クロード・ヴァンダム主演の映画があります。
またそう面白そうとは期待できないけど、やっぱり観てしまうんだろなぁ。

ではまた次回。

*ひこそ=呉彦祖(ダニエル・ ウー)、彦祖を日本語読みして「ひこそ」だそうです!