「国姓爺合戦」

02/Dec./2002

  

今回はシネ・リーブル梅田にて「国姓爺合戦」。
2001年中国・日本合作、原題も同じくです。

この日は日曜日16:20の回から、休みの日ともあって大分人も混んでいるのだろうと不安だったのですが、いざ来て見ると開場時に並んだのはたったの12人。公開から1週間経っているとはいえこれは寂しいぞ!

国姓爺とは17世紀の中国、明王朝から清王朝へと移り変わる時代に活躍した人物。父親が中国人、母親が日本人で、1624年長崎で産まれた。7歳の時、父と友に中国へ渡り、中国名として鄭森(ていしん)と名を改める。明は南京にて学問に励み、やがて北京へと移っても学び続け、将来国を背負う人物になると嘱望されていた。しかし時代は明から清へ、清の侵略により、事実上明王朝は崩壊することとなる。
鄭森は父のいる南方の福建省に戻った。当時、明の勢力下から外れた南方地域では新たな明王朝の政権が樹立されていた。福建省はその一つで、鄭森は皇帝より明の国姓である“朱”姓を名乗る事を許され、名を鄭森から鄭成功と改める。本来なら朱成功と呼ばれるところだが、彼自身が国姓を名乗る事は恐れ多いと鄭姓を通した為、人々からは“国姓爺(国の姓を名乗るべき偉人)”と呼ばれた。
鄭成功は滅びかけている明に最後まで忠誠を尽くして清と戦い続け、また一方では当時オランダに占領されていた台湾に進軍し、見事台湾を開放している。しかしその4ヶ月後の1662年、39歳の若さで病逝。その後彼は、中国大陸においては清と戦い、台湾をオランダから開放したアジアの英雄として、人々に語り続けられ、日本でも戯曲化され現在でも人気の演目として伝わっている...。

映画のお話しというより、歴史を語ってしまいましたがざっとこんな話。実在した国姓爺こと鄭成功の活躍を描いた、一大歴史大河ドラマというわけだ。 主演はチウ・マンチェク(香港ではウィン・ツァオ)。ツイ・ハーク監督作品では常連で、テレビシリーズ「黄飛鴻」の主演、リーリン・チェイが降番した後の主人公、黄飛鴻役で知られている。
現在カンフーアクションでは香港でも1、2を争うトップ俳優だ。
またヒロインになるジアン・チンチンという女優もこれまた中国美人。まだまだ新人らしいですが、これからが楽しみです(演技はこれといってですが)。他には鄭成功の母を島田楊子が演じてますよ。

で、お話しとしてはどうなのかと言うと、実は全然さっぱり。主人公である鄭成功が日本出身だというエピソードが全然活かされてない。また話の始まりも鄭成功が福建省へ帰ってくるところから始まっていて、時代背景が全然つかめない。それにその時一緒に旅をしていた彼の友人も、ありゃ?友人だったの?ってな感じで全然説明不足だ。鄭成功が国姓爺と呼ばれるにふさわしい活躍もさして見当たらないままお話しは進んで、なんの感動も興奮もわいてこないどないしようもない映画だ。

惜しい、実に惜しいぞ!
いい題材を使っていながら、こんな映画になってしまうなんて。まぁ観どころは主演のチウ・マンチェクのアクションと、最後のオランダ軍との戦いでしょうか。歴史スペクタルロマンを期待して観に来たのに、これにはやられた!こらヒットせんわな〜とまた納得、どうりで人が少ないはずだ。
先週の「モンテ・クリスト伯」とは違い、これでは気がおさまらない! と言う訳で次の映画観に行きました。お次は「ザ・リング」をご紹介します。