「鬼が来た!」

09/Nov./2002

  

再びやって来ました天六はホクテンザにて<中国映画特集2002>。
今回は「鬼が来た!」、2000年中国の映画。2000年のカンヌ国際映画祭で見事グランプリ受賞した作品です。原題は「鬼子來了」で、“鬼子”とは外からやってくる悪しきものの意味で、外国人に対する憎悪をこめた呼称として使われるということらしい。

お話しの舞台となっているのは1945年、中国は華北の寒村。第二次世界大戦も終結に向かっていた日々、この村も今だ日本軍の占領下に置かれていた。
とある日の深夜、村の青年マー・ターサン(チアン・ウェン、本作の監督)の元に、“私”と名乗る謎の男がやって来た。マーは拳銃をつきつけられ、大きな麻袋を2つ押しつけられる。
“私”はこれを晦日まで預かるよう脅し、供述書を取れと命じる。そして、これを殺す事も、日本軍に見つかる事もならないと伝える。

わけのわからないマーが、恐る恐る麻袋を開けてみると、そこにはなんと2人の男が入っていたのだ。一人は花屋小三郎という日本兵(香川照之、どこかで観たと思ったら、「ピーピー兄弟」で兄弟をTVに誘ったディレクターだ)。もう一人は日本軍に従軍する通訳のトン・ハンチェン(ユエン・ティン)だった。

日本軍の占領下で日本兵の捕虜をかくまうなどと、とんでもない話。殺してしまうか、日本軍に引き渡すか、村人達は悩み相談し合った。しかし晦日まではあと一週間もない、結局2人をそれまで隠すことに決めた。

だがその後何時まで経っても“私”は現れなかった...。

第二次大戦中の日本の中国侵略を舞台にしているだけあって、日本人にとっては心苦しいお話かというと、さほど気にするエピソードもそう無い(日本公開版だけだという噂もありますが)。どっちかというと人間の狂気の部分が掘り出されたお話だ。しかし重すぎるという訳でも無く、軽くみれて深いテーマを扱っている感じとなかなか観易い。
しかしハッピーエンドにお話は進むのかと思いきや、終盤にガラッと変わる。どう変わるのかは一度ご覧になってもらいたいものです。

それではまたヨロシク