「王様の漢方」

09/Nov./2002

  

“漢方”という言葉は日本語で、中国医薬全般を指す総称の意。中国語では“漢方”という言葉はなく、西洋医学と区別して“中医(中国医学)”という。歴代皇帝が不老不死の秘薬を求めたように、また西太后が美容術として発展させたように、中国悠久の歴史を持つ医学なわけだ。

さて本日は再びOS劇場C・A・Pにて「王様の漢方」、原題は「漢方道」。2002年中国・日本合作、おりしも日中国交正常化三十周年となる年だ。

主演は「こころの湯」(僕は未見ですが、今度天六で上映されるので観る予定)などで知られるチュウ・シュイ。他にはナレーターとしても活躍する俳優、渡辺篤史。何故か漢方の不妊薬を研究しているアメリカ人役にノーマン・リーダスが出てます。

日中間で貿易会社を営む市川一雄(渡辺篤史)。しかし日々発展を遂げる北京の経済と、日本大手企業の中国進出の波に押されて会社は現在火の車。失意のうちに歩いていると、ふと間違って入ったのが診療所だった。
診療所の李仁[リ・レン(チュウ・シュイ)]は、市川の顔を観るや否や彼の持病を当て、なんとすぐさま針治療で治してしまう。これには驚いた市川。

彼は帰国後、“日中友好漢方旅行団”なるものを企画し、さまざまな病気に悩まされている患者を引き連れて、万里の長城にある李仁の家に旅行ツアーにやって来たのだ。

万里の長城を舞台に、李仁の漢方医術でさまざまな病気の患者を治すというお話。市川に借金返済を迫るも、インポに悩むヤクザ。自分が末期のガンと悟る大手企業の会長。漢方の美容術でダイエットを考えるモデル。性同一性障害に悩む青年などなど、いろんな患者が登場する。

で、この映画、結局どうなのかと言うと、テーマは“漢方”なんですね。ホンマかどうかは知らんが(そりゃ本当なんでしょうが)いろんな漢方治療が紹介されていて、雄大な万里の長城の風景とあわさって進んで行く“ヒーリングムービー(癒し系映画)”という宣伝がされている。

でも結局どうだったの?癒されたのか?というような中途半端な話。李仁はいつでもにこやかに笑って漢方を語ってるだけだし、いろんな患者にしたって結局治ったのかどうなのかよくわからん半端さ。どうでもいいようなエピソードばかりで、後は漢方ばっかり。波が無くただフツーに観ていて、なんだかよくわからない映画だ。

途中気持ち良く寝てしまったということは、やっぱり癒されたのかな? そんな朝のはじまりでした。

お次は「鬼が来た!」をご紹介します。