龍虎門/かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート

ダイジェストでは、不満が残る。もったいない!



  

例によって現地で人気のコミック(劇画)の映画化。きっと原作はかなり人気で、しかも面白いんだろうなぁ。もちろん武侠もの。そして、この映画は、かなりの長さの原作のダイジェスト映画化なのだ(きっと)。
つまり、映画そのものの中にいろんなエピソードが詰め込まれていて、面白くないわけではないけれど、消化不良を起こしている。観ていてかなりチグハグな感じとムリヤリ感を受ける。もったいない。原作が面白そうなだけに、脚本が良くないのだろうなぁ。魅力的なお話しとそこそこ魅力的なキャストなのに...。
原作にどれだけ人気があるのかはわからないけれど、ムリに一本に収めてしまうのではなく、せめて上下、頑張って三連作くらいにして、細部まで描けていれば、面白そうなキャラクターもいるだけに、もっともっといい映画になっていそうなのになぁ...。

原作があるだけに、メインのストーリーはしっかりしている。
幼いときに生き別れになった兄弟と謎の男。孤児院も兼ねる「龍虎門」というカンフーの道場。そして、世界制覇をもくろむ悪の権化。これらにヒロイン二人が花を添える...。
しかし、この映画はあくまでもダイジェストにしか過ぎない。キャラクターの紹介とメインエピソードの消化に終始していて、伏線もへちまもないのがもったいないなぁ。

どういうことか。
兄弟の仲での別れと出会い、そして邂逅への向けての葛藤。そんなメインに来てもおかしくないような事象がまったく描かれていない。それどころか、悪の権化(?)であるグループが親玉から授かる権力の象徴『刹那門』(やったかな?)の何とも軽いことよ。で、どうして悪の権化と全面対決になるわけ? 単にレストランでの小競り合いに過ぎないような機がするけど。また、ヌンチャクのお兄ちゃんはいったい何? いきなり出てきて仲間入りなのものなぁ...。
それぞれ一本の映画に仕上げてもよさそうなエピソードとキャラクターが、あちこちに散りばめてあり、そしてそのまま打ち捨てられていくのは観ていて悲しくさえある。

ニコラス・ツェーにショーン・ユー、ドニー・イェンが主役(しかし、今調べてみるまでヌンチャクの兄ちゃんがショーン・ユーだとは気が付かなかったなぁ...)。
まぁ、何にも考えなくて、ただアクションを楽しみたいという方に向いているのではないでしょうか。

おしまい。