相棒 シティ・オブ・バイオレンス

おっさん向きかな



  

この映画のいい所は暴力に焦点が当てられているところ。少々のロマンスなどなく、甘い部分はすっぱり切り捨てている。まるで少し前の香港のアクション物(はたまた、東映のヤクザもの)を観ているような気分にさせてくれる。

お話しそのものは「チング」の後日談のような趣。かつて小さな地方都市で仲良く過ごしていたワルガキどもがすっかり大人になってからのお話しなんですね。
ただイキがって走り回っていたらそれだけですむ子供の頃とは違って、大人になるとそれだけではすまない。そして、昔のよしみだけでは済まされなくなってしまう。そんなノスタルジックな思い出と今をどう“選ぶ”のかのシビアな現実。大なり小なり、誰もが経験するであろうエピソードが上手く散りばめられているのですね。

主人公のテスを演じるチョンドゥホン。どこかでお会いしたような...と記憶を手繰っても思い出せない。調べてみると「血も涙もなく」で主演していたお兄ちゃんだったのか! もう何年も前に一度観ただけなのに「あゝあの時の...」と思い出させるのはそれだけの存在感があったということでしょう(の割りには「拳が泣く」とか「シルミド」では何処に出てたん?って感じだけど)。
芸達者のイボムスがいやらしい役をそつなくこなしていて、この人ひょっとしたらイイ人の役よりもこのピロのような役のほうが似合っているかもしれない。出番はそう多くないけど、ワンジェを演じるアンキルガンも一回観たらなかなか忘れられない存在感のお方。この人は横縞のセーターが似合います。そして、この作品の監督でもあるリュスンワンも大事な役で出ています。でも、上手いな〜と思ったのは「王の男」にも出ていたチョンソギョン(ソクファン/リュスンワンのお兄さん役)。
こうやって思い出すと、冒頭の感想とは相反するのだけれど、アクションものと見せかけておきながら、実はなかなか芸達者がいい演技を見せてくれているのが、この映画なのかもしれません。ただ、出てくるのはみなさん割とおっさん系なので、そう感じるのかな...?

若い人が観るよりも、ひょとしたらおっさんが観るとより楽しいのかもしれません。従って、映画そのものの出来とはあまり関係なく興行的にはしんどいのかな?
この日は公開二日目の日曜でしたが、劇場はごま塩状態でした。大阪ではGWに公開予定です。

おしまい。