私の生涯で最も美しい1週間

これも愛、でも、あれも愛



  

明けて翌日の日曜の夕方、今日もほぼ満席。
そうか〜、前売りの売行きを換算して箱を決めていたのか。と言うことは、関西圏でコアな韓国映画迷は、およそ100名+アルファで、122名の劇場がほぼ満席になるんだな。この数が多いのか少ないのかはわからないけれど、夏に行われるソチョンさんのシネマコリアのナナゲイも座席数が96で補助席が幾らか出るから、やっぱりこれくらいか。
今回の「2006 大阪韓国映画週間」は、いわゆる韓流スタアの出演作でもないからね、これくらいがアベレージなのでしょう。
出来れば、一日二回上映を組んでもらいたかった。土日は18:30スタートでもなんとかなるけど、平日も18:30からのこの時間だと、堅気の勤め人だと、ちびっと苦しいもんね。

で、「私の生涯で最も美しい1週間」。
迂闊にも全くのノーマークで、どんなお話しなのかは全く知らないまま拝見しました。
これ、もし「Sad Movie <サッド・ムービー>」からもっと時間を空けて観ていたら、もっともっと心に染み入ったかもしれません。そんな意味では、贅沢だけど、ちびっともったいないと思う。
6組のカップルが織り成す連作ムービー。

最も印象に残るカップルが、ファンジョンミンとオムジョンファの刑事と女医。二人とも打ってつけの役柄でスムースに映画の世界に入っていけます。そして、イムチャンジョン、ソヨンヒ(「連理の枝」でチェジウの友人役)のカップル。ソウルで地下鉄に乗ると、いつも辛いだろうなと思ってしまう車内の実演販売のおじさんたち。朴訥として垢抜けないイムチャンジョンがいい味出してますねぇ。ベンチの下で財布を発見しても、それを持ち主に返してしまう。いい人なんだな。だから最後はハッピーエンド(良かったね!)。
そんなイムチャンジョンに仕事ながらもサラ金の返済を促す(そんな優しさはあんまりないけど)のが、(久し振りに顔を見るなぁ)キムスロ。彼は学生時代にはバスケットの花形選手だったが、試合中のチョンボ(?)が原因で今はこんな仕事をしている。そんな彼に突然持ち上がった話しは...。キムスロの大学のチアリーダー兼恋人(?)は、なんと! (キムスロのこのエピソードだけ、ちょっと異質なような気がします)
イムチャンジョンに返してもらった財布を受け取りながらも邪険に扱う映画館の社長と映画館のボックスオフィスの横に設置されているコーヒーショップの女主人の永遠の片思いカップル(チュヒョン/「ファミリー」のお父さん、オミヒ)。オンボロスクリーンをシネコンに再生することが決まり、最終日の最終回後に流れたもう一本のフイルムには...。この純情さがいいですね。この映画館はどこだったのでしょう?
どうしていい年頃の男女が同室で入院生活を送るのか、その理由はよくわからなかったけど、修道女予備軍の女の子と、アイドル失格寸前の芸能人(チョンギョンホ/「ごめ愛」でもアイドル役、ユンジンソ/「マルスンさん」で同居している看護婦のお姉さん)の愛の出会い頭衝突。
そして、愛を知らない冷血人間を演じるチョンホジン(「クライング・フィスト」のうどん屋のおやじ)と心温かい青年を好演しているキムテヒョン(「青燕」で訓練中に事故で地面に激突してしまう後輩)の二人が繰り広げる禁断の愛(?)。

この映画を観ながら感じたのは、昨夜観た「恋愛の目的」との対比。あの映画の中で語られたパクヘイルとカンヘジョンの間に横たわっていたのも恋愛であれば、この映画で見せる6つのカップルの間を取り持っているのもやっぱり恋愛。どっちが立派でどっちが駄目だとは言わないけれど、人はそれぞれで、やっぱり恋愛もそれぞれなんだな。ついでに言えば「Sad Movie <サッド・ムービー>」もこれまたしかり。
どれだって本当の恋愛だけれど、やっぱり美しく哀しく切ない、だけど楽しい恋愛を映画の中では観たいんだな、ボクは。

出演者も豪華。ほど良く練られたストーリー。何しろ嫌味が無くて、誰からも好感を持って迎えられる演出。突飛なことはあまりしていないけれど、手堅くまとまった作品。いや、愛すべき掌品と言えるでしょう。
これは、そう遠くない日に、劇場公開は難しくてもビデオかDVD化されるのではないでしょうか。その際には是非どうぞ! カップルでご覧になるのに向いていそうな気がします。おすすめ!

この日、ボクの斜め後が関係者用のシートになっていて、そこに座っていたスリムで長身のお兄さんこそが、この作品を撮ったミンギュドン監督でした。上映終了後のトークはちょっと意味もなく長いものになってしまいましたが、その中でも真摯に答えを探している監督の姿に好感を持ちました(何を偉そうに!)。

おしまい。