ONE LOVE/ワン・ラブ

みなさん、よくご存知のようで...。



  

トリノからカリブ海の南国ジャマイカへ。
ボクはあんまり音楽を聴かない。CDウォークマンは持っている(今はほとんど持ち歩くこともないけど)けど、MP3プレーヤーは持っていない(欲しいなとは思っているけど)。聴くのは古いフォークソングか、新しいものだと中華圏か韓国のCDか。だから、あまり多くの人と音楽の話しは合わない(と思う)。
ラップとかレゲエは、好きでもないし、あまり聴きたいとも思わないのだから、今となっては、どうしてこの「ONE LOVE/ワン・ラブ」を観ようかと思ったのか、今となっては不思議な気がする。

ミュージカルでもなければ、バンドの物語りでもない。ごく普通の恋愛もの。たまたま男(カッサ)がレゲエバンド(本当にレゲエなのかは自信ないけど)のリーダーで、女(セリーナ)が牧師の娘で教会所属の聖歌(?)歌手であるだけ。それどころか、お互いの氏素性が対極にあり、なおかつ、信ずる宗教も異なる。言うなれば「ロミオとジュリエット」のカリブ版。
惜しいなと思ったのは、やはり盛り上がりに欠けることかな。ある程度最初から結末は明示されている。この二人が越えなければならない障壁が大きく厳しいほど盛り上がるはずなんだけど、その大きさが観ているこちらに伝わってこないから、盛り上がらない。

どことなくのんびりムードが漂い、弟を連れて公園にデートに出掛ける姿は微笑ましい。教会を手伝っている彼女の婚約者が姑息な手段でカッサ(ボブ・マーリーの息子さんだそうなキマーニ・マーリー)をワナに陥れる方法なんかは「これってマジなの?」と思ってしまうほど稚拙。もう少しアタマを使ったらいいのに...。そんないかにもな南国情緒が、緊迫感とはまるで無縁な雰囲気を醸し出してしまっているんだろうな。

一番の問題点はセリーナ(シェリーヌ・アンダーソン)がどうしてカッサに惹かれてしまうのか、その点の説得力の無さなのかな。「主人公なんだからお互いに惹かれあって当然でしょ」というスタンスはいただけない。元々ヴォーカルを務めていた太目の女の子もなんだかなぁ...。全てがステレオタイプで、あまりにも意外性が無さ過ぎるんじゃないかな。

そんな感じだからか、この日のシアターN渋谷(旧ユーロスペース)は片手ほどの入り。やっぱりみんなよくご存知だ。

おしまい