トリノ、24時からの恋人たち

冬のトリノ。夜空を飾る、光のアートを見に行きたい



  

当たり前のことなんだけど、日々の暮らしや街の風景は洋の東西で大きく変わり、西洋の街並みは美しく、西洋の方々は何をしていてもかっこよく目に写る、そんなふうにボクの心には刷り込みがなされているような気がする。
う〜む、これってどんなものなんだろう。欧米の方が中華圏の映画の中で展開される庶民の食事風景を観てどう思うのだろう? そういえば、あんまりハイソな方々の食事風景は出てこないような気がするけど。狭い部屋の中で家族が生活しているのをどんなふうに眺めているのだろう?
まぁ、そんなことを思いながらこのイタリアのトリノが舞台「トリノ、24時からの恋人たち」 を拝見しました。

深夜の街角、革ジャンを着た背の高い若い男、単車から降りジャガーが飾られたショウルームの前にたたずむ。アンジェロ(ファビオ・トロイアーノ)。
冴えない男、街角のファストフード店に入る。お店の女性店員から「いつもの?」と訊ねられ「そう、いつもの」と答えてハンバーガーのフィッシュセットを受け取る。マルティーノ(ジョルジョ・パソッティ)。
女性店員、夜中の12時まで営業の仕事だけど、その5分前にはポテトを揚げるフライヤーの火を落とし、いそいそと閉店準備を始める。アマンダ(フランチェスカ・イナウディ)、この人スタイル抜群です。ボクなら何十枚でもチラシを受け取るけどなぁ...。
こんな三人が微妙に、いや時に濃厚に関係を繰り広げながらちょっと風変わりな物語りは展開していく。

まるで夢のようなお話しなんだけど、妙に人間臭いところもある。(どういかにもなのかは、うまく説明できないけど)いかにもイタリアの作品という優雅さとウィットさが混在していて、その落差を楽しむのかもしれない。
背景に出てくる映画博物館。小道具たちもいいし、何よりも収蔵されている作品を主人公たちと一緒に観られるのは楽しみだ。 奇妙な三角関係、奇妙な形で折り合いが付く。
そして、画面は冒頭のジャガーのショウルームの前に戻る。
そうか。そういうことだったのか。

毒にもクスリにもならないお話しなんだけど、どこか心惹かれるものもある。淋しい晩にご覧になるには良いかもしれません。
しかし、観終わったら、スーツケースに服を突っ込んでそのまま関空からトリノヘ向かいたくなることは間違いナシ。
う〜む、しかし、フィボナッチ数列って何だ?

チャオ!