ドラゴン・プロジェクト

なんと美しい、親子愛



  

もう一度シネマート心斎橋。
今回も気楽に観てすっきり楽しめるコメディ。こちらもなかなか楽しめる。
観ながら思ったのは、香港の映画って学園ものはあんまりない。主人公が学生なのは珍しくて、たいていは黒社会の一員であったり、つつましく生きる市井の一市民であったりする。不思議な気もするけど、これは香港では学歴とは一部の特権階級の人たちにだけ意味があるからだろうか。そういえば受験勉強なども出てこないしなぁ。大学生が出てくるのはボクの記憶では「玻璃(ガラス)の城」くらい。

それが、いきなり私立高校(?)のキャンパスが出てくるからびっくりする(なんだか新界の元郎のあたりのような気がする)。
シウボウ(アンソニー・ウォン)が娘ナタリー(ジリアン・チョン)を迎えに来ていて、娘に会う前に“ホラ話”(?)を同級生たちに聞かせているという設定。う〜んこんなシーンもあるんやなぁ。

この一家が主人公。お母さんはおらず、シウボウは接骨院のような医院をやっていて、水族館のイルカの調教師をしている兄ニッキー(スティーブン・フォン)と女子高生の妹ナタリーの三人家族。この兄弟、幼い頃から格闘技を仕込まれていて、すぐに手や足が出てしまうのが凄い。
ある日、妹の恋人ジェイソン(ダニエル・ウー)が家にやってくる。四人でテーブルを囲むんだけど、そのテーブルの下で繰り広げられる兄弟の足技には感心するしかないです。はい。

そんな幸せな一家だったけれど、ある日突然災難がふりかかる。
父が経営する接骨院が襲撃され、部屋の中をむちゃくちゃにされた挙句、謎の集団がシウボウを拉致してしまうのだ。この謎の集団は何者なのか? アンソニー・ウォンの運命は如何に?

ストーリーそのものは荒唐無稽で、こうして振り返ってみると辻褄が合わなかったり、「なんで?」と思わなくもないけれど、映画を観ている最中は勢いがあるからドンドン見入ってしまい、口を半開きにして映画の世界にどっぷり浸かっている。やっぱりこの勢いと強引さ、そして激しいアクションが息つく間もなく繰り広げられるのが、香港映画の魅力。

「さぁ、能書きはもういいから、今すぐ映画館へ駆けつけよう!」と言いたいところですが、例によって紹介が遅くなってしまったので、シネマート心斎橋での上映はとっくに終了しています。ほんとは大きいスクリーンで、ところ狭しと暴れまわるアンソニー・ウォンやスティーブン・フォンをご覧いただきたいのですが、ビデオかDVDでお楽しみください。何も考えず、頭の中を空っぽにして、映画の世界に入り込んでくださいね。

なお、本編には全く関係ないけど「エンター・ザ・フェニックス」のワンシーンがちらっと出てくるので、お楽しみにね!

おしまい。