インサイド・マン

主人公に同感できないと、爽快さも得られない



  

早く行かないと上映が終わってしまう!と慌てて観に行ったのに、上映延長していた。
正直な感想は「底が浅かったな」ってところでしょうか。

悪くない。むしろ、よ〜く考えて練られたお話し。
メッセージ色はない。かと云って、香港のアクション映画を観終わった後のような爽快感もない。結局何だったのかと思う。
もう少し話題を絞って、単純な展開にしても良かったかな。ボクが思うに、ジョディ・フォスターのエピソードを割愛するのではなく、ネゴシエーター(交渉人)役の刑事のエピソードを削るべきだったかな。それほど、この交渉人の二人はこの映画の中では中途半端な位置付けだったと思う。

用意周到に計画された銀行強盗。いわゆる完全犯罪。
その場に居た行員、警備員、お客さん全てを人質にし、ある銀行のある支店に立てこもる。普通なら篭城した時点でこの犯罪は失敗に終わるはず。ところが...。
そうか、こんな手もあったのか! そして、次第に犯人グループの本当の目的が明らかになっていく。

だけど、全く理解できないのが犯人達の犯行の意味だ。それが惜しい。
もちろん、ただ単に完全犯罪を演じたかっただけではないだろう。この事件の結果、何が変わるのか。どういう意味を持つのか。誰にどんなダメージを与えるのか。
そこらを犯人グループと、観ているボクが共有出来なかったら、このお話しは単なる犯罪もので終るし、心からの喝采を上げることは出来ない。

アルバニアという国があるのは知っていたけれど、さすがニューヨークにはその言葉を理解できる人が存在している。しかも、とってもちゃっかりしている。かと思えば、市長にいつでも圧力をかけられる敏腕の女性弁護士もいるわけだ。
そう思うと、貸金庫に隠匿されている文章はなんだか取ってつけたみたいな気がする。

枝葉を整理して、もう少しスピード感を出せば、きっともっと評価される映画になったんじゃないかな。素材がいいだけに惜しい気がしました。
残念ながら、上映は終わってしまいました。ビデオかDVDでも十分お楽しみいただけると思います。はい。

おしまい。