リバティーン

ロチェスター卿の狂気は、ジョニー・ディップの狂気



  

ジョニー・ディップはああ見えて(どう見えて?)、なかなか奥行きが深い役者さん。ボクが観ているだけでも「チャリ・チョコ」から「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ネバーランド」「耳に残るは君の歌声」「ネバーランド」ともっとあるかもしれないけど、その作品によって全く異なる印象を与えてくれる。一番好きなのはやっぱり「チャリ・チョコ」のウォンカかな。
そんなジョニー・ディップがまたもや新しい姿を見せてくれると楽しみにしていたら、「あわわわ」っと云っている間にテアトルでの上映は終わってしまい、何故か高槻まで駆けつけて拝見してきました。
しかし、最近テアトルに全然行ってへんなぁ...。調べてみると去年の夏に「ヴェラドレイク」を観て以来、もう1年ほど行っていないやんか! 前は何度も通るんやけどなぁ...。

17世紀のイギリスが舞台。
しかし、この頃の世界って、きっと暗くて無茶苦茶不潔やったんやろうなぁ...。今みたいに入浴やシャワーの設備や習慣があったわけではないようだし、雨が降れば舗装されていない道は泥沼と化す。電気やガスも無く。夜になればほぼ真っ暗。おまけに歴然とした差別(いや区別?)社会で、身分の違いはいかんともしがたかったはず。これで一度疫病が流行すればどうしようもなかったに違いない。まぁ、そのあたりは、この映画とは全く関係ないけど「ドゥームズデイ・ブック」(コニー・ウィルス、ハヤカワ文庫ISBN:4150114374)の世界を思い出してしまった。

王の側近として、野心を燃やしていた(いやいや、自堕落な生活を送っていた?)のが、我らがジョニー・ディップ演ずるジョン・ウォルコットこと二代目ロチェスター卿。王の存在を含め、何も怖いものがない彼は荒唐無稽な行動と発言で王朝と議会を飛び回っていたのだが...。
そんな彼が、短くもぶっとい人生の縮図を描いている。

しかし、とっても残念なことに、ボクにはほとんど理解できなかった。
何がどうなっているのか。それどころか、集中力も関係していたのかもしれないけど、誰が誰なのかもよくわからなかった。
ただ、一つはっきりと伝わってきたのは、ロチェスター卿が持つ“狂気”。

う〜む。ボクは貴族でもなければ、選ばれた人でもない(もちろん)。もし、貴族であったなら、未来が約束されている人って、きっと勉強や努力ってしないんだろうな。それにお金に困っているわけではないのだから、ほんと、それこそ怖いものなんか世の中にないのだろうな、きっと。
それにしても、死の身近さよ。医療が発達して60も70歳まで生きられるようになったのは、ついここ50年ほどのことで、それまでは、人間の生活のすぐ横に死が存在してたんだな。

本題から逸脱して、こんなことばかり考えていた。
気持ちが良いお話しでもなく、笑い飛ばすようなコメディでもない。サマンサ・モートン、ジョン・マルコヴィッチ、ロザムンド・パイク、そして「ロシアン・ドールズ」にも出ていたケリー・ライリーなどが出演しているので、どうしても彼らを見たいという思いが強いのでなければ、ご覧になっても仕方ないかもしれません。つまり、ビデオやDVDでも、あんまりオススメではないと思います。

おしまい。