ロシアン・ドールズ

もう、この続編は勘弁してね



  

「スパニッシュ・アパートメント」の続編。
調べてみると2004年の5月に観ている。そこそこ面白かったことは覚えているけど、続編が撮られてしまうほどだったのかと云うと「どうやったかなぁ?」と思うし、どんなお話しだったのかもあんまり覚えていない。でも、この続編を観ようと思ったのだから、面白かったんでしょう、きっと。

確かグザヴィエはバルセロナでの留学を終え、パリに帰って外交官(公務員やったかな?)になったはずだったけど、結局、定職にも就かずにフリーのライターとして口に糊を貼っている状態。
そんなグザヴィエの現状を中心にして、あのバルセロナで共同生活を送った面々の数年後が割りと丁寧に描かれている。だけど、可能性の玉手箱のような学生時代と、可能性の行き先がかなり限定されてしまった社会人とでは、その魅力に大いに隔たりがある。そんなわかり切ったことを再び教えてもらいました。

青春とは不思議なものだ。学生時代は幾らはちゃめちゃな生活を送っていても、自分も周囲も世間もそれを許してくれる。でも、自分の中で区切りを付け、社会人としての入り口をくぐってしまったその瞬間から、取り巻く環境も周囲からの期待や視線も全く異質なものになってしまう。若者はそんなことのにウスウス気が付いて、いかにして青春時代の延長を行おうかと努力しているやろうな。青春時代を過ぎてしまったボクに言わせると、青春は過ごしているそのときよりも、振り返ったときにこそ値打ちがある。だから、いつまでも青春時代にしがみついていても、そんなものには意味が無い。早く大人になりなさい、と。でも、そんなこと若い人にはわかりっこないか...。

妙に物分りがいいんだよな、みんな。そんな周囲に暖かく包まれているグザヴィエ。本人は全く気が付いていないだろうけど、かなり恵まれた環境だ。
そして、大きな仕事も掴み、再開した彼女とゴールイン出来るのか...。そこにはちょっとした試練が待ち受けている。

正直云って、この作品は前作と続けて観て初めて意味があるのではないだろうか?
そうしないと、すっかり忘れているところにぶつけられても何がなんだか思い出せない。それにこの作品だけ観ても、前作を観ようという気はまず起こらない。欧州ではそこそこヒットしたのかもしれないけど、日本ではどうやったのかな? この日のシネカノン神戸のお客さんは4人だけ。まぁ、そんなものかな。

唯一の救いは、ロシア人のダンサーが美しかったことかな?
もう、この続編は勘弁してくださいね。

おしまい。