プラハ!

これは、白昼夢なんでしょうか?



  

家に戻って一番最初に何をしたのか。
それは地図帳を広げた。

チェコがどこにあって、あの国境の先には一体何が待ち受けていたのか、それがとっても心配だったのだ。でもボクは愚かにもあれだけ何度も出ていた駅名も繰り返し言われていた地名も全く覚えていなかった...。
それでも、家族が乗ったクルマが越えて行ったボーダーはきっと(当時の)西ドイツだったんだろうな。チェコは西側に接していて(西ドイツとオーストリア)ラッキーだったんだよね。

この前に観たミュージカル「プロディューサーズ」は底抜けに明るい作品だった。この「プラハ!」もミュージカルシーンは底抜けに楽しく夢を見ているようだけど、それだけではない。
でも、こんなストーリーで映画を撮れるところが、今のチェコを象徴している。辛い過去を振り返ることが出来るのは、凄いことだ。

とにかく前半は面白い。主人公たちが全く高校生らしく見えないけど、案外こんなものだったのかもしれない。卒業を間近に控えて、頭の中にあるのは異性のことばっかり。誰一人として進学や就職のことについては心配していなくて、気になっているのは卒業試験だけというのも正直でいいね(しかも、一人ずつ呼び出されての口頭試問!)。
面白いだけではなく、美しくて楽しい。「これは目を開けて見る黄金の夢」というキャッチのそのまま。

やっぱりミュージカルはいい。ドカンとシーンが切り替わってスタジオニなるのですが、違和感があるというよりも「もっと!もっと!」と思ってしまう。
気に入ったのが、時計のシーン!
それと、やっぱり大切なのが主役のテレザを演じるズザナ・ノリソヴァーのかわいらしさでしょうね。

後半に入ってからは、チェコが背負ってきたいろいろな背景が若者の背中に覆いかぶさってくるのですが、深刻にならずカラッと語ります。しかしこの「プラハの春」事件から35年ほどは本当に暗黒の時代だったのでしょう。テレザたちが当時18だったとしたら、18歳からほぼ50歳までの人生の大半を暗黒の時代を生き抜かなければならなかったのは、運命とは言え切なすぎます。

出来れば、もう一度じっくり拝見したいような気もします。
まずまずのオススメ。
この日は日曜の昼下がり、十三のナナゲイは前日の「柔道竜虎房」の熱気をひきずったままの盛況で、半分ほどの入り。普段では決してここではお会いしそうにない方も大勢お越しでした。昨夜もそうだったのですが「マイ・アーキテクト」も物凄い人気で、このところのナナゲイは一体どうしたのでしょう?

それにしても、シモンって、あのままずっと収監され続けていたのでしょうか。ちびっと気になりますね。

おしまい。