GOAL! ゴール! STEP1 イングランド・プレミアリーグの誓い

もうすぐワールドカップ開幕!



  

連休の合間。久し振りに試写会へ出掛けました。
今年はドイツでワールドカップが開催される年。それに合わせるかのようにサッカーを題材にした映画が何本か公開されるようですね。先日、渋谷で拝見した「GiNGA/ジンガ」もそんな一本だったのでしょう。でも、流れるように一連のプレーが続くサッカーは非常に演出が難しく、プレーが寸断される野球やアメリカンフットボールに較べると映画にはなりにくい。
いや、実はゲーム(試合)そのものがドラマなのだから、ワールドカップそのものを一本のドキュメンタリーとして映画化してしまった方が、よっぽどドラマチックに仕上がると思うんだけどどんなものでしょう。それとも、ファインプレーやゴールシーンだけを集めてもいい。

メキシコから米国のLAへ移民(?)してきた青年サンチアゴ・ムネスが主人公。
彼は家業の庭師(?)をして父親を手伝いながら地域のサッカークラブでプレーを楽しんでいる。そんな彼に、突然ビッグチャンスが訪れる。たまたま、往年の名プレーヤーに見出され、英国のプレミア・リーグの名門クラブ「ニューカッスル・ユナイテッド」への入団試験を許されたのだ。
ようやく英国へ旅立つ資金を工面したサンチアゴはロンドンへ飛ぶ。そして、様々な苦難を乗り越えて...。

確かにサンチアゴは下手ではないと思う。でも、ちびっとリアリティがないぞ。
一人の男がいて、そいつがサッカーが上手いのかどうかを判断するのに、ドリブルが上手いのかどうかというのはあんまり関係ない(と思う)。ただ、パスのセンスがいいとか、全体の視野が広いとか、たくさんゴールを決めるとかは絵になりにくい。すなわち、映画で表現しにくいし、それを観客に理解させるためには、非常に大くのプロセスを踏まなければならないということなんだろう。う〜む。
いやいや、サンチアゴが栄光に向けての第一歩を踏み出すのに、あまり挫折してばかりもいられない。とにかく原石は米国のLAで発掘され、とにかく陽の目をみる舞台に到達した。
実は、この作品は最初から三部作に決まっていて、今回拝見したのはその一作目にしか過ぎない。
端折って端折って、とにかくプロとして第一歩を刻んだ。

まぁ、もし野球で言うならば...
もとプロ野球の選手でスカウトをしていたおじさん。孫の試合を見るためにやって来た台湾は高雄の街角にある野球場。ふと隣のグラウンドで行われている草野球のマウンドに目をやると...。そこには160キロの剛速球をびゅんびゅん投げるヴェトナム出身の少年ヨンチャンの姿があった。おじさんはその豪腕に惚れこみ、ヨンチャンにホークスの入団試験を受けるようにすすめるのだが...。
ヨンチャンは自分の夢をかなえるために、父親の反対を押し切って、おばあちゃんに飛行機代を出してもらい、単身はるばる福岡へやってくる。王監督の前では緊張してとんでもない投球しか披露できなかったけれど、OBのおじさんの計らいでどうにか練習生として球団に残れることになった。ある日、ファームで好投を披露し、次は王監督が視察に来るゲームでの登板だ。しかし、その試合前に意地悪な先輩の妨害に遭い、またしても散々な投球内容になってしまった。
くじけてしまいそうになったヨンチャンは、九大のスポーツ医療研究室にいる美人の看護婦に励まされ、もう一度だけ頑張る決意をする。再びファームで好投し、とうとう一軍との帯同のチャンスを掴んだ。
しかし、福岡ドームへ向かう途中、彼に届いた電報には「チチキトク、スグカエレ」と書かれていた。「とうとう、父親に自分の成功した姿を見せることが出来なかった」着の身着のままで福岡空港に駆けつけたヨンチャンは、台北行き搭乗の最終アナウンスをロビーで聞いていた。「いや、俺が今やることは高雄に帰ることじゃない。ホークスの一員として活躍することなのだ」そう決意した彼はそのままクラブハウスに戻り、練習に復帰した。
ヨンチャンの好リリーフで、ホークスは勝利を収める。シーズンは終盤に入っている。最後のマリーンズとの三連戦に三連勝すれば、ホークスはプレーオフに進出出来る。監督室に呼ばれた彼は王監督に告げられる「ヨンチャン、最終戦は、先発で行くぞ」と...。

こうして書くと、野球だってもちろんチームプレーだけど、投手とか打者とか個々のプレーが独立していてキャラクターも明確になるし、個人としての能力を描きやすい。サッカーはものごっついストライカーが一人いても、彼にパスを出す人がいないと全然お話しにならないし、守備が悪かったらボロボロやもんなぁ...。

まぁ、ワールドカップドイツ大会に向けての日本代表選手も発表されたことだし、ワールドカップへの雰囲気を高めるためにも、気楽にご覧になって、お楽しみくださいな。そこそこ楽しめて、熱くなれると思います。5月27日から公開されるようです。
ボクは同じサッカーを題材にした映画なら「ザ・カップ/夢のアンテナ」「アザー・ファイナル」の方をおすすめしますが、どんなものでしょう?

おしまい