ぼくを葬る(おくる)

う〜む。淡々と死を迎えるのは、



  

テーマも良かった、役者さんも悪くない、もちろん監督だって期待を裏切らない人だ。でもそれらが揃ってるからと言って、素晴らしい作品が生まれるかというと必ずしもそうではないところに、映画の面白さがある。それともボクの期待が大きすぎたのかなぁ?

カメラマンとしての地位も掴んだ。腕が認められて、エージェントには日本での撮影の話しも舞い込んで来ている。そんな矢先に、身体が不調を訴える。そして、医者からはキッパリと申し渡される「余命は3ヵ月しかない」と。
主人公ロマン(メルヴィル・プポー)がゲイだから感情移入出来ないのではない。そうではなくて、あまりにも考えたり咀嚼したりする時間が、あまりにもボクに与えられない。ロマンがあまりにもあっさりと甘受してしまい、次々と判断を下しすぎるのではないか。これでは一緒になって悩めない。「ほう、こう来るか」とも思わない。彼の下した判断を、行動を淡々と眺めるだけで。残念ながらボクには、共感も驚きも感動もなかった。

とは言え、登場する人物は魅力的。主人公のロランを演じるメルヴィル・プポーは、魅力的なルックスで別の作品でも是非演じる姿を観てみたい。ドライブインのウェイトレスはヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。この人はオゾン監督の前作「ふたりの5つの分かれ道」では主演していましたね。この作品でも非常に大きなアクセントを与えています。実にいろんな顔を見せてくれる女優さんです。また、短いシーンながら祖母にはジャンヌ・モローも印象に残ります。

全体的に共感が出来ず(いや、映画の世界に乗ることが出来なかったのかな?)、そのためなのかサプライズもなかった。予想できる範囲内で順当にお話しが進んでしまうのは、なんとも味気ないものです。
でも、感傷的ではない描き方だとすれば、こうなってしまうのかもしれませんね。

この日は初日で、拝見したのは初回。ボクはすでに予告編が始まってから飛び込んだんだけど、空席が結構あるのに、そこに座らずに立見をする人が大勢いるという、なんとも不思議な光景。う〜む。東宝系の劇場は全席指定でも、朝の初回は自由席というシステムが多いけど、これって何か理由があるのかな? 最近のお客さんは指定席に慣れているから、全ての回を指定にしてもいいんじゃないかな?

おしまい。