ロマンス/The Romance |
観ていて、息苦しさを感じる |
この先どうなっていくのか、その展開がある程度読めてしまうだけに、悲運(?)に向かって一直線に転がり落ちていく二人を見守らなければならないのは、辛く切ない。
最初は、どうもお話しの流れについて行けず「あれれれ?」と思う。冒頭のシーンなぞは「インファナルアフェア」そのままのような感じ。
刑事のヒョンジュン(ボクのお気に入りのチョジェヒョン)、彼が主人公。仕事にも過程にも恵まれず(?)、彼自身も自我の崩壊が秒読み状態。おまけに口うるさく出世しか頭にない署長(ユンジェムン)にののしられ、頭が上がらない。
どんな形をしていようと、どんな境遇であろうと、家庭を持っている男と女が出会い、そして愛し合うことは許されないのか...。許されることがない愛であるがゆえに、二人は燃え上がる。見ていてこちらがヒヤヒヤしてしまうほど、心情の吐露がストレート。お互いに分別が付いていそうな年頃なのに...。
その崩壊の過程が、アクションであり、ドラマチックなんだけど、この部分の処理(表現)にいささかの問題がある。これはもう風呂敷を広げすぎで、ここまでしてしまうと興醒めしてしまう。やはり物事には限度というものがある。 ヒョンジュンの相手役にキムジス。ヒョンジュンの上司(班長)にキジュボン。特殊舞台の隊長にアンギルガン。そして麻薬の売人など脇もなかなか芸達者が揃っています。 もし、もう少し味付けを変えていたのならば、ひょっとしたら大化けしていたかもしれない。ストーリーだけではなく、描かれている展開や人物描写が全くのステレオタイプ。本当はもう一皮剥け、意外なストーリーの展開の中で韓国社会への問題定義をするくらいの度胸が欲しかった(と、言うことは、キムギトク監督に期待するしかないか)。すなわち、「不倫」であっても、結局二人が結ばれるという、従来のセオリーを覆した結末が欲しかった。
しかし、今回の訪韓で拝見した作品の中で一番面白かったのも確か。
これで、この春に釜山とソウルで拝見した映画の紹介はおしまいです。 おしまい。 |