台風/typhoon

豪華な顔ぶれで、力作だけど...



  

チャンドンゴン、イジョンジェ、イミスク...。
そして潤沢な予算、海外でのロケ...。
そんな考えうる要素が詰まっていても、出来上がった作品がそのまま素晴らしいのかと言うと、そうでもないところに映画の難しさがあるのだと思う。この映画は、そんなことを痛感させられる事例だと思った。
期待感は高い。それはボクのような、一人の映画ファンとしてもそうだし、スターのファンもそうでしょう、それにこの映画に出資した人たちもそうでしょう。興行という点では、そこそこの数字をあげているし、韓国以外の諸外国へ輸出される金額も含めれば間違いなく黒字になっているでしょう。でも、ハートを掴めたのか? それは少し疑問だ。
設定は悪くない。魅力的でさえある。
しかし、目の肥えた観客は、スケールの大きさや出演するスターの顔ぶれだけではなかなか動かないものなあんだな。さすがに手堅い動員は見込めるけど、作品への評価そのものはどうだろう?
ボクは年末のソウルで拝見してきた。公開されて2〜3週が経過していたものの、小さくないスクリーン、場内には半分ほどの入りだからたいしたものだ。
そして、日本での公開も迫っていると聞く。字幕付きで拝見するとまた違う感想を持つかもしれないけれど、きっともう観ないと思う。

よくわからないまま物凄いスピードで、冒頭からお話しはどんどん展開していく。
台湾の北、東シナ海である貨物船が海賊に襲撃を受け、乗っ取られる。その海賊たちが“絵に描いたような姿”なのでちょっと笑ってしまう。
その貨物船には核を搭載した衛星爆弾(?)を誘導するレシーバーキットを運んでいた。そして、海賊の頭(かしら)は北朝鮮出身のシン(チャンドンゴン)。このキットを使い韓国に向け核を打ち込もうと画策しているらしい。
そして、このレシーバーキットを奪還するために韓国から急遽派遣されたのがガンセジョン大尉(イジョンジェ)。
この二人はどう対決し、そして果たして韓国は核の脅威から逃れることができるのだろうか?

冒頭のスピード感に対して、その後のスピードが著しく鈍ってしまうのが惜しい。乗っ取った船でそのまま北上を続け、タイムリミットがあるなかでのお話しなら、最後まで緊迫感は持続したと思うけど。主人公二人の背景を説明し、この二人の人間的な邂逅を織りいれたために妙に間延びした展開になってしまうのだ。
果たして二人の間にドラマは必要だったのだろうか? そんな単純な疑問を持ってしまう。もちろん、勧善懲悪ではなく、海賊シンにも言い分があり、肩入れもしたくなる(なんたって天下のチャンドンゴンが演じているのだから)。でも、アクション映画として観たときにはちょっとクビを傾げざるを得ない。チャンドンゴンにもし、網走番外地などの健さん的な役回りをさせたかったのであれば、もう少し違う設定にすべきではないだろうか?

まぁ、そんなボクの思いはさておき、物語りはどんどん進み、まるで世界旅行のような様相を見せる。今まで一度も行ったことはないけれど、ウラジオストックという街へ行きたくなります。すぐそこにあるのに、なかなか行けないけどね。
そして、ラストにもう一度舞台は貨物船へ。
果たしてこの二人の対決は如何に...。

ちょっと調べてみると『タイフーン TYPHOON』というタイトルで、4/8からロードショー公開される模様です。お楽しみに!

翌年の2月も終わろうかという時期になって、ようやく2005年分を全てアップできました。ゴメンナサイ!!

おしまい。